
世界5位の軍事力を有する韓国でも、北朝鮮と衝突した場合には太刀打ちできない可能性があるとの指摘が出ている。北朝鮮が近年、核戦力を急速に増強しているためだ。
韓国世宗研究所の鄭成長副所長は過去の聯合ニュースとのインタビューで、「各国の軍事力を評価する民間機関『グローバル・ファイアパワー(GFP)』によれば、韓国の軍事力は世界5位とされている。しかし、通常兵器だけでは軍事力を評価できない。より重要なのは核戦力だ」と述べた。
鄭副所長はさらに、「北朝鮮の総合的な軍事力は韓国を100倍、1000倍も上回るとみている。韓国の通常兵器は北朝鮮の核兵器の前では武器とさえ言い難い」としたうえで、「第二次世界大戦当時、日本は原子爆弾2発の投下を受けて降伏した。韓国が誇る『玄武』ミサイルも1000発あってようやく北朝鮮の戦術核兵器1発分に相当する威力しかない。足元にも及ばない」と強調した。
また、北朝鮮が韓国に対して核兵器を使用する可能性については、「多くの人は、北朝鮮が理性的に判断する限り、韓国に向けて核兵器を発射することはないと考えている」と述べた。その理由として、「核兵器を使用すれば北朝鮮政権が崩壊する可能性があるため、その可能性は極めて低いとされている」と説明した。一方で、「韓国軍と北朝鮮軍による局地戦が核挑発につながる可能性はある」との見方を示した。
北朝鮮の核戦力はどこまで拡大したのか
10日、英国の非営利団体「検証研究・訓練・情報センター(VERTIC)」は、北朝鮮の新たなウラン濃縮施設が全面稼働すれば、ウラン濃縮能力が従来比で約75%との分析結果を公表した。
同団体は、「新施設には9000台以上の遠心分離機が設置されると推定される」としたうえで、「年間約160キログラムの高濃縮ウランを生産できる見通しだ。既存の高濃縮ウラン生産能力は約215キログラムと推定される」と説明した。
VERTIC報告書の共同執筆者であるグラント・クリストファー氏は、「北朝鮮はすでに一定規模の核戦力を保有するために必要な核物質を確保している可能性が高い」とし、「現在はその保有数を増やしている段階だ」と指摘した。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「今回の大規模な施設拡張は、北朝鮮の金正恩総書記が米国や中国などの圧力にもかかわらず、核開発計画を大幅に拡大しようとしていることを示している」と分析した。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、北朝鮮が現在約60発の核弾頭を保有していると推定している。さらに、少なくとも90発分の核弾頭を追加で製造可能な核分裂性物質も保有しているとみている。これは、2025年時点の約50発から増加した数値となる。
さらに北朝鮮は、戦術核兵器の運用能力も強化している。核弾頭を短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルに搭載し、朝鮮半島で運用する能力の整備を進めており、核兵器の運用範囲を戦略核から戦術核へ拡大しようとする動きがみられる。
米国との交渉はさらに遠のくのか
北朝鮮の核戦力増強は、米国との対話実現をさらに困難にするとの見方も出ている。
現在、ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮を交渉のテーブルに引き戻すには、第1次政権時とは異なるアプローチが必要だとの指摘が出ている。
2018年に第1次トランプ政権下でシンガポール首脳会談に臨んだ当時の北朝鮮と、現在の北朝鮮では置かれた立場が大きく異なっている。

第1次トランプ政権当時の北朝鮮は、中国も加わった国連制裁の強い影響を受ける一方、ロシアの影響力は限定的で、経済的に極めて厳しい状況にあった。このため、米国との首脳会談を積極的に推進し、制裁緩和や外国資本の誘致による経済発展を目指していた。
しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、北朝鮮はロシアへの派兵を決定し、両国関係は事実上の準同盟関係へと発展した。2025年に締結された包括的戦略パートナーシップ条約には相互軍事支援条項が盛り込まれ、その後、両国の協力関係は急速に拡大した。
さらに軍事面でも大きな変化が生じ、北朝鮮軍は史上初めて海外での実戦経験を有する軍となった。
中国も、北朝鮮がロシアという新たな後ろ盾を得たことで、ロシアへの影響力拡大を警戒する姿勢を強めている。北朝鮮の対中依存度が低下すれば、中国の対北朝鮮への影響力も弱まる可能性がある。
こうした変化を受け、北朝鮮は憲法に核保有国としての地位を明記し、非核化問題はもはや交渉の対象ではないとの立場を堅持している。
18日、朝鮮労働党の金与正総務部長は談話で、「核保有は必ず守らなければならない核心利益であり、非核化は決して越えてはならない一線だ」と強調した。
















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