「石油は奪われ、カネも戻らない」米国が握るベネズエラの2兆円超、送金はわずか2%…“残りは闇の中”

米トランプ政権は今年、ベネズエラの石油販売収入で130億ドル(約2兆1,300億円)以上を得たが、その行方については説明しておらず、実際、ベネズエラ政府に渡った金額は3億ドル(約491億5,100万円)に過ぎないと、フィナンシャル・タイムズ(FT)が22日に報じた。

米国は1月にベネズエラのニコラス・マドゥロ前大統領を逮捕し、副大統領だったデルシー・ロドリゲス氏を暫定大統領に据えた。その後、米国はマドゥロ前政権による2018年大統領選での不正や民主主義の破壊を理由に、独自に科していたベネズエラ産原油の輸出規制を解除した。石油の販売と売却代金の管理は、米政府が担うことになった。

1月9日から発効された米国のドナルド・トランプ大統領の行政命令は「米国民とベネズエラ国民の利益のためにベネズエラの石油輸入を保護する」とし、「石油販売の代金はベネズエラの所有であり、米国はこれを一時的に管理(custodian)するに過ぎない」と明記した。また、制裁を一部緩和し、米国が管理する形で石油販売を正常化すればベネズエラ経済が復活すると述べた。石油の輸入はベネズエラの国内総生産(GDP)の約4分の1を占める。

引用:ニューシス
引用:ニューシス

しかし、トランプ大統領の真の狙いは、石油の収入という「資金源」を握ることで、ロドリゲス氏が率いる政権を米国の意向に従わせることにあった。これまでマドゥロ前政権は、石油の収入を国家の発展ではなく、政権の維持や側近らの汚職、政治的な利益供与に充ててきた。

いずれにせよ、石油輸出の制裁が緩和され、石油の代金が国家発展に適切に使われれば、ベネズエラ経済に大きな活力を与えると予想された。しかし、米国がこの石油販売の資金を管理してから半年が経ったにもかかわらず、ベネズエラの経済回復の兆しは非常に乏しい。さらに、公開された資料によると130億ドルを超える販売資金のうち、ロドリゲス政権に渡った金額は3億ドルに過ぎないという。

FTは、今年1月以降のベネズエラ産原油の船積みデータと、同国で生産されるメレイ、ボスカン、ハマカの各原油価格を基に、トランプ政権が販売代金として130億ドル以上を受け取ったと推計した。この販売代金についてトランプ大統領は当初、「ベネズエラと米国民のために、大統領である私が管理する」とし、「米国はあくまで管理者にすぎない」と説明していた。しかし、6月の演説では、「わずか48分間の(マドゥロ前大統領拘束)軍事作戦で、数百万バレルの原油を手に入れた。作戦費用の28倍に相当する莫大な利益を得た」と得意げに語った。

一方、ベネズエラ政府が石油販売収入を追跡するために開設したウェブサイトには、3月分の1件、3億ドルしか記載されていない。

引用:France24
引用:France24

その上、ベネズエラでは6月24日、首都カラカス近郊でマグニチュード7.2と7.5の双子地震が1分間隔で発生し、5,000人以上が死亡、1万6,000人以上が負傷した。国際連合(UN)は、建物や社会インフラへの直接的な被害額だけでも370億ドル(約6兆620億円)に上ると推計している。ロドリゲス政権は、石油販売の収入や英イングランド銀行に保管されている金などの資産を使用できるよう求めている。

帳簿上の「3億ドルの送金」以外にも、今年4月には、米国務省で中南米・カリブ地域を担当する高官のマイケル・コザック氏が米議会の公聴会で、「30億ドル(約4,915億230万円)の石油収入がベネズエラに送金されており、KPMGが銀行口座の監査を行っている。今後、この資金に関する四半期ごとの報告書を議会に提出する」と明らかにした。彼は14日、米上院外交委員会・西半球小委員会の公聴会で「そのお金は彼らのものだが、我々の許可を得なければならない。公務員の給与支払いや石油産業向け設備の購入などに充てることができる」と述べた。

しかし、米議会の両党議員たちはこのお金の執行内容について報告を受けたことは一度もないと言っている。22日、米下院外交委員会の公聴会で米共和・民主両党の議員たちは「数十億ドル規模に達するベネズエラの石油収入が透明性や適切な監視体制のないままトランプ政権の管理下に置かれている」、「資金の流れを透明化すべきだ」と批判の声が相次いだ。

ベネズエラの第4四半期の経済成長率は2.5%で、過去5年間で最低水準だった。ワシントンにある経済政策研究センター(CEPR)のベネズエラ人経済学者、フランシスコ・ロドリゲス氏はFTに対し、「第4四半期に石油収入が増加したにもかかわらず、経済成長が加速しなかったのは、米国が石油収入の全額をベネズエラ政府に移転していないためである可能性が高い」との見方を示した。

ベネズエラ人の経済学者で、野党の元議員でもあるホセ・ゲラ氏はFTに対し、「石油収入はここ数年よりはるかに多いはずだが、その資金はどこへ行ったのか。透明性はなく、米政府も我々に何も説明していない」と語った。

織田昌大
織田昌大

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