
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、戦時下の「ドローンの英雄」を更迭したことで、難しい立場に追い込まれている。英紙ガーディアンは22日(現地時間)、ゼレンスキー大統領が、更迭したミハイロ・フェドロフ前国防相(35)を再び国防相に任命するよう強い圧力を受けていると報じた。
ゼレンスキー大統領は15日、革新的なドローン戦術を主導し、注目を集めていたフェドロフ前国防相を電撃的に更迭した。ゼレンスキー大統領はこれについて、「戦争が新たな局面に入る中、政府に新たな活力を与えるための内閣改造だ」と説明したが、戦時下で高く評価されていた国防相を更迭したことから、大きな疑問の声が上がった。
表向きの更迭理由は、フェドロフ前国防相とウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官(60)の間で、戦略や戦術を巡る対立があったためとされている。フェドロフ前国防相がドローンを中心とした非対称戦を重視したのに対し、シルスキー総司令官は伝統的な軍の指揮方式を維持してきた。
フェドロフ前国防相の更迭が明らかになると、軍首脳部で激しい対立が表面化し、これに反発する市民が街頭に繰り出して、シルスキー総司令官の退任を求める声が相次いだ。ゼレンスキー大統領は最終的にデモ参加者の要求を受け入れる形でシルスキー総司令官を更迭し、後任にミハイロ・ドラパティ統合戦力司令官(43)を任命して事態の収拾に乗り出した。
しかし、デモ参加者側はフェドロフ前国防相が国防相に復帰するまで、全国規模の無期限デモを続ける方針を明らかにした。現在、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ保安庁(SBU)のイェウヘン・フマラ長官代行を国防相代行に任命し、議会に正式な任命への同意を求めている。
これについて、ある軍高官はガーディアンの取材に対し、ゼレンスキー大統領が重大なジレンマに直面していると指摘した。「ゼレンスキー大統領が更迭の決定を覆せば、フェドロフ前国防相にとって大きな勝利となる。ゼレンスキー大統領にとっては屈辱的だが、決定を覆さなければデモは続くだろう」と述べた。
フェドロフ前国防相の更迭については、ゼレンスキー大統領が将来的な大統領選のライバルとなり得る人物を排除しようとしたとの見方もある。ゼレンスキー大統領は過去にも、自身より高い人気を集めていたヴァレリー・ザルジニー元ウクライナ軍総司令官を解任し、その後、駐英大使に任命した経緯がある。
一方、ゼレンスキー大統領はフェドロフ前国防相の更迭後、技術開発を担当する副首相への就任を提案したが、フェドロフ前国防相は直ちに拒否した。
フェドロフ前国防相はゼレンスキー大統領の最側近の一人で、副首相兼デジタル変革相を歴任した。軍事や政治の経験はほとんどなかったものの、デジタル変革相時代にウクライナ軍へのドローン技術の導入を先導し、高く評価された。ゼレンスキー大統領は2026年1月、フェドロフ前国防相を国防相に電撃起用して大きな権限を与え、フェドロフ前国防相は長距離ドローンを積極的に活用し、戦況を変えるうえで重要な役割を果たした。















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