引用:Getty Images

「世界最高の富豪が最も貧しい子どもたちの命を脅かす姿は美しくない(The picture of the world’s richest man killing the world’s poorest children is not a pretty one)」

米マイクロソフト(MS)創業者で世界的な億万長者のビル・ゲイツ氏が8日(現地時間)、テスラCEOのイーロン・マスク氏に対して痛烈な批判を展開した。ゲイツ氏はこの日、英フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、マスク氏が米国の対外開発・援助の縮小を主導したとして、「世界最貧国の子どもたちの命を奪っている」と非難した。

これは、トランプ政権下で政府効率化部門(DOGE)の長を務めたマスク氏が、今年2月に「もはや不要だ」として米国際開発庁(USAID)の廃止を決定したことを批判したものだ。米国が突如援助を打ち切ったことで、緊急食料や医薬品が倉庫に山積みとなり廃棄の危機に直面。麻疹やHIV、ポリオなどの疾病が再び蔓延する恐れが指摘されている。

ゲイツ氏は、マスク氏のこの決定を「無知に基づく行動」と一蹴。さらに、マスク氏がUSAIDを「犯罪組織」と呼んだことに対し、「彼はこの機関が実際に何をしているのか全く理解していない」と指摘した。

ゲイツ氏は、「モザンビークのガザ州で母子間のHIV感染を防ぐための病院支援金が、マスク氏の決定により打ち切られた」と述べ、「これはマスク氏が中東のガザ地区とアフリカのガザ州を混同した結果」だと批判した。

「彼(マスク氏)には、その資金を打ち切ったことでHIVに感染した子どもたちに直接会ってほしい」とゲイツ氏は述べた。マスク氏は以前、「私の発言の一部は間違っているかもしれない」と認め、ガザ州とガザ地区を混同した事実を認めている。

ゲイツ氏とマスク氏は過去にも慈善活動を巡って幾度となく対立してきた。マスク氏は2012年、ゲイツ氏と彼の元妻メリンダ・ゲイツ氏、ウォーレン・バフェット氏が主導した「寄付誓約(Giving Pledge)」に署名したものの、その後、慈善活動のほとんどを「無意味」とし、商業的解決策の方が弱者支援に効果的だと主張している。

ウォルター・アイザックソン氏著のマスク氏の伝記にも、両億万長者の不和を示す記述がある。マスク氏がゲイツ氏によるテスラ株の空売りを知り、激怒して「世界を変えようとする企業を妨害しながら金儲けをしようとしている」と批判した部分だ。

一方、この日ゲイツ氏は、今後20年間で2,000億ドル(約29兆400億円)を寄付し、2045年にはゲイツ財団を完全に解散する意向を表明した。これは彼が過去25年間で寄付した1,000億ドル(約14兆5,000億円)の2倍に相当する。財団は年間予算を約100億ドル(約1兆4,500億円)まで増額し、引き続きワクチン開発や母子保健に注力する方針だ。

ゲイツ氏は「財団を永続的に維持するのではなく、20年間集中的に資金を投入することで、より明確な目標と大きな影響力を確保したい」と強調した。

織田昌大
織田昌大

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