引用:depositphotos

「新しい『アメリカ党』があなたがたの自由を取り戻す」

テスラのイーロン・マスクCEOがソーシャルメディアで新党設立を宣言した。米国のドナルド・トランプ大統領の最側近だったマスクCEOは、政府の減税法に反発し対立の末、完全に背を向けた。

現在、米国の共和党と民主党は上院で53対47、下院で220対212と拮抗している。マスクCEOは来年11月の中間選挙で上院2~3議席、下院約10議席を獲得し、第3党として法案可決の鍵を握る計画だ。

トランプ大統領はマスクCEOの新党設立を低く評価した。彼は「第3党を作るのは馬鹿げている。第3党はこれまでまともな成果を上げたことがない。彼はそれで楽しむかもしれないが、本当に無謀な試みだ」と述べた。実際、170年間続いてきた米国の堅固な「二大政党制」の特性上、第3政党の成功は難しいとの分析が出ている。

まず、勝者総取りの選挙制度が原因として挙げられる。米国では選挙人団を多く獲得した候補が勝利するが、1票でも多く得た1位候補が全ての選挙人団を獲得する仕組みだ。強力な二大候補以外への投票は死票となりやすく、第3候補は有権者に選ばれにくい。

さらに、各州の登録手続きも厳しい。政党登録と候補者出馬の要件が州ごとに異なり、多くの行政的、法的問題が伴う。このため、米国で第3政党が成功した例はほとんどない。

1992年、大富豪で実業家のロス・ペロー氏が出馬し、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領とビル・クリントン元大統領と対決した。全体の得票率18.9%という旋風を巻き起こしたが、勝者総取りの選挙制度のため選挙人団は1人も獲得できなかった。

ブルームバーグの創業者、マイケル・ブルームバーグ氏も2009年に独自政党で大統領選出馬を目指したが中途で撤退し、スターバックスの創業者、ハワード・シュルツ氏も2020年に政党設立を試みたが断念した。第3候補が選挙人団を獲得したのは1968年、南部出身のジョージ・ウォレス氏が最後だ。

ワシントン・ポスト(WP)は「障壁が多く、第3党は成功しにくい環境だ」と指摘し、ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「政党設立に求められる複雑な資格審査手続きはマスクCEOにも対応困難だろう」と予想している。

有馬侑之介
有馬侑之介

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