
北朝鮮が「ソウルを火の海に」との威嚇の際に前面に出してきた240ミリ多連装ロケット砲M1991が、ウクライナ軍の攻撃用無人機(UAV)によって再び撃破された。昨年に続き約7か月ぶりの事例とされる。
ウクライナ無人システム軍(USF)は19日(現地時間)、前日に東部ドネツク州の戦場で自爆ドローンにより北朝鮮製M1991を破壊したとして、関連映像を公開した。
映像には、ウクライナの自爆ドローンがM1991に向かって突入する様子やロシア軍の乗員および補給車両がこれを察知して後退する場面が収められていた。
ドローンは車体後部に装着された金属製ネットではなく正面からM1991に突入し、その瞬間に映像は終了している。
USFは昨年6月にも、第413無人装備大隊がドネツク州ノボパブリウカ方面で北朝鮮製M1991を初めて撃破したと明らかにしていた。
当時、ウクライナ軍の自爆ドローンはM1991の発射機に装填されたロケット弾を精密攻撃し、続く二次爆発によって火災が拡大、ロケットシステム全体が破壊されたとされている。

「ソウル火の海」の象徴、M1991とは
M1991は240ミリロケット弾を最大約60キロメートル先まで発射できる砲撃システムで、北朝鮮の在来型兵器の中でも韓国の首都圏を脅かす主力の一つとされている。ウクライナ軍はM1991を旧ソ連製220ミリ多連装ロケット「ウラガン」の北朝鮮版と評価している。
北朝鮮は「ソウル火の海」発言を行う際、M1991を象徴的兵器として繰り返し取り上げてきた。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)もM1991について「北朝鮮がソウルを危険な状態に置くための中核的手段」と評価したことがある。
北朝鮮はウクライナ戦争以降、少なくとも100門のM1991をロシア軍に供与したと伝えられている。M1991が実戦配備されていることは、昨年4月に公開された映像によって初めて確認された。
ロシア軍は特に東部戦線で北朝鮮製兵器を投入しており、M1991については精度や信頼性は高くないものの、砲兵戦力を補強する手段として運用しているとみられる。
この兵器は精密誘導能力を備えていないが、短時間で多数のロケット弾を発射する飽和攻撃によって前線への圧力を高める効果が期待されている。

大型多連装ロケット、現代ドローン戦では弱点も
一方で、多連装ロケット砲(MLRS)は車体が大型であるうえ、停車や発射角度の調整、乗員の活動など発射準備の過程が目立ちやすい。
発射時には煙や熱、閃光が拡散し、ドローンや対砲兵レーダーなどの監視資産によって位置が特定されやすいという特性もある。
また、前線での運用頻度が高いため戦術ドローンの活動範囲に入りやすい点も指摘されている。
発射後の再装填待機や補給車両の接近、一時的な隠蔽・停車といった運用上の時間が必要となることから、ドローンによる探知・追跡にさらされやすい。

大量のロケット弾を搭載しているため、自爆ドローンが命中した場合には車両火災や弾薬誘爆などの二次被害が発生する危険性も高いとされる。昨年の撃破事例もこうした状況に該当するとみられている。
もともとドローン迎撃を前提に設計されたプラットフォームではないため、空中からの物理的脅威を直接排除する「ハードキル」防御には限界があるとの指摘もある。
これに対しロシア軍はM1991にドローン対策として金属製ネットを装着するなど応急的な対処を行っているが、今回の事例のように十分な効果を発揮しないケースも少なくないとされている。
M1991は北朝鮮砲兵戦力の重要な一角を占める兵器とされる一方、ドローンが主役となる現代戦のウクライナ戦場では、旧式MLRS全般が抱える構造的弱点が浮き彫りになりつつある。













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