夜間にウクライナのオデーサ、キーウが再び攻撃を受ける
「今月だけで60万人がキーウを離れた」との推計も

米国の仲介で進められているロシアとウクライナの終戦協議が事実上停滞する中、ロシアが連日攻勢を強めているとされ、ウクライナは厳しい状況に置かれている。今回の世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)で終戦案の議論が進展するとの期待もあったが、米国によるグリーンランド併合を巡る論争に関心が集中し、議論が後回しにされたとの見方が出ている。
ロシア、エネルギー施設への集中攻撃…「キーウのアパート半数で暖房停止」

ウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領は20日(現地時間)、SNSに「ロシアが大規模攻撃の準備を終え、実行を待つ段階にある」と投稿し「極度の警戒が必要だ」と呼びかけた。あわせて「空襲警報に特に注意してほしい」とし、各地の当局に迅速な対応と住民支援の準備を求めた。
ウクライナは最近のロシアによるエネルギー関連インフラへの継続的な攻撃により、深刻な電力不足に直面しているとされる。キーウやハルキウなどの主要都市では、エネルギー施設が集中的に攻撃され、厳冬期の電力・暖房供給に大きな支障が出ているという。市当局によると、前日時点でキーウでは集合住宅の約半数にあたる5,635棟で暖房が停止したとされる。
物流の要衝であるオデーサ港も連日のミサイル攻撃を受けているとされ、ザポリージャなど前線地域でもロシアが徐々に戦線を拡大しているとの情報が伝えられている。
地元当局によると、前夜にもロシアはウクライナ全土に戦闘用ドローン339機とミサイル34発を発射したという。
キーウでは50歳の男性1人が死亡し、ガソリンスタンド2か所が被害を受けたとされる。エネルギー施設への被害が拡大する中、国会議事堂でも電力・暖房・水道の供給が一時停止した。市当局は今月に入ってから約60万人の市民がキーウを離れたと推計している。
チェルノブイリ原子力発電所でも一時的に停電が発生したが、その後復旧した。1986年に史上最悪の原発事故が起きたチェルノブイリ原発は、現在すべての原子炉が停止しているものの、使用済み核燃料や放射性物質の管理には電力が必要とされている。
国際原子力機関(IAEA)はウクライナの原子力安全管理にとって重要な変電所が損傷を受けたと明らかにした。ウクライナは電力供給の半分以上を原子力発電に依存している。
オデーサ地域ではエネルギーインフラや住宅用建物もロシアのドローン攻撃を受けたと伝えられている。
AFP通信によると、国際刑事裁判所はウクライナのエネルギー施設攻撃を巡り、ロシア軍高官2人に対する逮捕状を発付した。裁判所はロシアの攻撃が民間人への被害を意図したものだったと判断したとされる。
ゼレンスキー大統領、ダボス会議不参加…終戦案も進展なし

ロシアが攻勢を強める中でウクライナは厳しい状況に置かれているが、終戦交渉は進展を見せていない。米国が主導する終戦案はドナルド・トランプ米大統領が15日にゼレンスキー大統領を「終戦の障害」と名指しして以降、事実上足踏み状態にあるとみられる。
ゼレンスキー大統領は代表団を米国に派遣し、ロシアによる民間施設攻撃を批判するなど、米国の姿勢を変えようと努めているが、トランプ大統領の態度に明確な変化は見られていない。前日開幕したダボス会議では両首脳が会談し終戦案を協議する可能性も取り沙汰されていたが、ゼレンスキー大統領は電力復旧対応を理由に会議への参加を見送った。
ゼレンスキー大統領は記者団とのやり取りやSNS上で「米国との安全保障や戦後復興計画に関する文書が署名の準備段階に入った時点でのみ、ダボスに向かう」と述べた。ゼレンスキー大統領の「条件付き参加」の姿勢は、終戦案についてウクライナ側の作業は終わり、残るは米国の決断だとするこれまでの発言と同じ文脈にある。
一方で、グリーンランドの強制併合を巡る論争により、ウクライナ戦争が事実上後景に退いたことで終戦案妥結へのゼレンスキー大統領の期待が低下しているのではないかとの見方も出ている。
ゼレンスキー大統領は「全面戦争が続く中で、いかなる集中力の欠如も懸念される」と述べ、グリーンランド問題とロシア・ウクライナ戦争を「互いに代替可能な問題」として扱うべきではないと強調した。
















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