
日本経済新聞(日経)によると、日本企業がレアアース確保のための多角的な対策を本格化させているという。2010年の尖閣諸島紛争を機に中国がレアアース輸出を規制した事件を受け、この動きが加速した。JX金属(5016 JP)と大手商社は中国以外の地域で調達ルートの確保に乗り出している。プロテリアル(旧日立金属)などはレアアースを使用しない技術開発に集中している。
JX金属の林陽一社長は「南米とオセアニア、南アフリカに資源担当者を配置し、開発可能な場所がないか常に監視している」とレアアース確保の取り組みを説明した。JX金属は2025年6月にオーストラリアのレアアース鉱床に5%出資すると発表し、追加出資も検討中だ。同じ鉱床には丸紅(8002 JP)も11月に出資の意向を示し、日本企業の持分が拡大している。林社長はオーストラリアに続く追加のレアアース権益確保についても「当然探求している」と述べた。JX金属は半導体材料にレアアースを使用しており、調達先には中国も含まれているため、安定的な物量確保が急務となっている。
国内の商社もレアアース確保に積極的だ。双日(2768 JP)は2025年10月に希少性の高い「重レアアース」をオーストラリアから初めて輸入したと発表した。2025年には独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と岩谷産業(8088 JP)の共同出資会社もレアアースの精製を扱うフランス企業に出資した。豊田通商(8015 JP)と住友商事(8053 JP)も調達先の多角化に乗り出している。
レアアースは1980年代まで米国などが主要生産地だった。その後、中国で鉱山開発企業が乱立し、低価格輸出が拡大した。当時、中国は環境規制が緩く、採掘や精製過程で発生する放射性廃棄物やレアアースの抽出に使用する酸性液処理が不十分でも許可されていた。中国は環境対策費用が安いため、生産コストを米国などに比べて圧倒的に低く抑えることができる「利点」を活用した。その結果、中国の生産量が急増し、レアアース大国として台頭した。日本企業が権益を確保しても、コスト面で圧倒的な中国にどう対抗するかという課題が残る。
レアアースの必要性を技術革新で克服しようとする取り組みも進んでいる。プロテリアルは電気自動車駆動用モーター用に重レアアースを使用しない磁石を開発した。2025年4月、米国との相互関税報復措置で中国政府が7種類のレアアース輸出規制を実施した際、日本の自動車大手が生産を一時中断するよう強いられた。重レアアースなしでも電気自動車モーターに使用できる磁石が実現すれば、こうした供給不安を緩和できる。
リサイクル技術開発も活発だ。ネオジム磁石大手の信越化学工業(4063 JP)は日本とベトナムにリサイクル拠点を持つ。使用済みレアアース製品や製造工程で出た単材などを回収して循環させている。トヨタ自動車(7203 JP)と協力してハイブリッド車モーターに使用される資源の再利用も進めている。
日本企業は過去の教訓を生かし、レアアースのネオジム磁石代替技術開発やリサイクルに取り組んできた。しかし、低価格の中国産ネオジム磁石の優位性を覆すには至らず、導入が普及しなかった。レアアースの安定確保というグローバル課題解決に貢献するため、これまでの対応をどう活用するか、民間と官が連携して知恵を絞る必要があると日経は伝えた。













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