
ドナルド・トランプ米政権が自国内の研究所に対して事実上の解体を試みていることに関連し、現地の科学界で論争が激化している。「ターゲット」となった研究所がアメリカはもとより、世界の気候変動研究の中枢的役割を果たしているためだ。人為的気候変動を否定するトランプ政権の不興を買ったことが、組織解体の危機の背景にあるという見方が出ている。
アメリカの科学界によると、先月末アメリカ国立科学財団(NSF)は、自らが運営資金を提供するアメリカ大気研究センター(NCAR)を対象に「重要気象インフラ再構築」という計画を発表した。
計画の核心は、現在コロラド州に主要研究施設を置いて運営されているNCARの主要機能を他の機関に移転することだ。これを実現するため、NCARが使用していた各種コンピュータや施設、観測用航空機などを売却したり、他の機関に譲渡するとしている。この措置が現実のものとなれば、NCARは事実上解体されることになる。
NCARは約800人の人員を抱え、年間約2億ドル(約307億円)の予算を使う非営利研究所だ。しかし、NCARは普通の研究組織ではない。気候研究のための各種コンピュータシミュレーションやモデルを作成し、継続的に更新している。そしてこれを世界中の研究者に共有しており、地球気候変動研究の頭脳と言える。温暖化に関する主要研究はNCARなしでは遂行困難だ。
しかし、この重要な役割が逆にNCARの命運を左右したというのが現地科学界の見方だ。NCARの機能が化石燃料支援を基本とし、人為的気候変動に懐疑的なトランプ政権の神経を逆なでしたというのだ。
実際、ラス・ヴォートホワイトハウス行政管理予算局長は昨年12月SNSを通じて「NCARはアメリカ国内の気候危機論の震源地」とし、「他の地域や機関に機能が移転される」と述べた。
NCARが無力化される可能性が高まる中、現地の科学界は深刻な懸念を示している。アメリカ地球物理学連合(AGU)は最近の学会ニュースで「NCARは天気予報や土壌状態、作物の現状などを統合して適切な農業方法を提示するコンピュータシステム『クロップスマート』を開発していた」とし、「(NCARが機能を喪失すれば)作物への灌漑に使用する費用の中で1億ドル(約153億円)を削減する機会も失う」と指摘した。
特に問題なのは災害対応能力の低下だ。全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の資料によると、気象予報がアメリカにもたらす経済的利益は年間315億ドル(約5兆円)に達する。しかし、正確な気象予報の基盤であるNCARが消滅あるいは弱体化すれば、経済的損失が増大するのはもちろん、人的被害も現在より拡大する可能性が高い。
NSFは来月13日までにNCARの業務分配案について科学界から意見を募るとしている。しかし、NCAR無力化方針が覆される可能性は低い状況で、トランプ政権と現地科学界の緊張関係はさらに高まると見られる。













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