同盟国の防衛産業自立が加速
米国の伝統的な同盟国であるカナダと豪州が相次いで国防の自立を打ち出した。カナダは米国製武器への依存度を大幅に引き下げる「メイド・イン・カナダ」戦略を発表し、豪州は巨額の資金を投じて、核推進潜水艦の建造施設と先端防衛産業技術ファンドを設立する方針を決めた。
これは、米国の「アメリカ・ファースト」政策への反動として、安全保障面での依存度を下げ、自国の防衛産業を育成しようとする動きとみられる。こうした西側同盟国の自立志向により、日本や韓国企業を含むグローバルな防衛産業のサプライチェーン再編が避けられないとの見方も出ている。

カナダのマーク・カーニー首相は17日(現地時間)、モントリオールで新たな国防産業戦略を発表し、米国中心の安全保障体制からの自立を明確に打ち出した。カーニー首相は「米国とのパートナーシップには多くの利点があるが、それは一種の依存(dependency)だ」と述べ、「安全保障上の意思決定で他国に左右されないよう、独自の防衛産業基盤を拡大する必要がある」と強調した。
カナダ政府が示した新戦略は「建設・パートナーシップ・購入(Build, Partner, Buy)」の三つの原則で要約される。軍装備の調達では国内生産を最優先とし、国内生産が難しい場合に限り、技術移転を前提に同盟国と協力し、海外からの直接購入は最後の手段とする方針だ。
今回の戦略には、今後10年以内にカナダ連邦政府の国防契約の70%を自国企業に配分するという具体的な目標が盛り込まれている。現在、カナダの自国企業への契約比率は約43%にとどまる。10年間で30%近く比率を引き上げるため、連邦政府は軍装備調達に1,800億カナダドル(約20兆4,000億円)、国防インフラ整備に2,900億カナダドル(約32兆8,600億円)など、総額5,000億カナダドル(約56兆6,600億円)に達する記録的な予算を投入する計画だ。
カーニー首相は「過去数十年間、カナダは地理的優位性と他国の保護にのみ依存し、防衛費支出や産業投資を怠ってきた」と述べ、「その結果、もはや放置できない脆弱性が生じている」と強調した。
トランプ大統領は6日、米軍向けの武器を米国内で優先的に生産させ、同盟国にも米国製装備の購入を促す行政命令に署名した。この命令では、同盟国が地域の安全保障責任をより多く負うべきであり、そのために米国製の最先端武器を迅速に購入すべきだと明記されている。事実上、米国製武器の購入を同盟国に強制する内容であり、同盟国の防衛産業企業への牽制とも受け止められる。
こうした背景から、一部ではカーニー首相の今回の発表は、トランプ氏の「米国製購入」要求に対し「カナダ製優先」という立場で反論した意味合いがあると見る向きもある。ブルームバーグは「今回の戦略は、トランプ氏の攻撃的な安全保障・貿易政策や関税の脅威に対する直接的な対応だ」と分析した。

豪州も自国の防衛能力強化に力を入れている。豪州政府は15日、オーカス(AUKUS・米英豪安全保障同盟)合意の一環として、南オーストラリア州オズボーンに新たな潜水艦建造施設を建設するための初期資金28億豪ドル(約3,060億円)を承認した。豪州のアンソニー・アルバニージー首相は、これを「長期的に約300億豪ドル(約3兆2,800億円)が投入されるプロジェクトの頭金」と説明し、「通常型武装の核推進潜水艦を豪州が自ら建造するために不可欠な施設」と位置づけた。
豪州はハード面だけでなく、ソフト面での防衛力強化にも取り組んでいる。豪国防産業相のパット・コンロイ氏は19日、約10億豪ドル(約1,090億円)規模の「先端能力投資ファンド(Advanced Capability Investment Fund)」創設計画を発表する予定だ。このファンドはベンチャーキャピタルと連携し、極超音速ミサイル、人工知能(AI)、自律システム、量子技術などの先端防衛技術を開発するスタートアップ企業への支援を目的としている。
ブルームバーグは、第二次世界大戦以降で最大規模の軍備増強を進める豪州が、国防予算のより多くを自国の革新的企業に振り向けようとしていると伝えた。これは、米国シリコンバレーのベンチャー資本を防衛技術に活用するモデルを参考にしたもので、豪州の防衛産業エコシステムの体質を変えようとする試みだ。ただし、専門家はカナダと豪州の取り組みが成功するかどうかは不透明だと指摘する。長年にわたり米国に依存してきた防衛産業エコシステムを短期間で再構築するのは容易ではないためだ。
ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・バイヤース教授は、「カナダの防衛産業はロッキード・マーティンやゼネラル・ダイナミクスなど、米国の大手企業の子会社に支配されている」と指摘し、「これら外国系子会社を除いた純粋な国内企業だけで70%の目標を達成するのは、ほぼ不可能に近い」と述べた。
一方、豪州のベンチャーファンドも国防予算全体と比べれば規模は小さく、民間投資をどれだけ呼び込めるかが今後の成否を左右する重要な課題だ。
西側同盟国の「防衛産業の独立」は、日本や韓国の防衛産業にとって危機であると同時に、新たなビジネスチャンスともなりそうだ。
カナダと豪州はいずれも自国内生産と技術移転を強く求めている。カナダの「建設、パートナーシップ、購入」戦略では、韓国企業がカナダに武器を供給する場合、単なる完成品の販売ではなく、現地での生産施設構築や技術提携が必須となる。カーニー首相は「自国での生産が不可能な場合のみ同盟国とパートナーシップを結ぶ」と説明しており、参入の初期障壁は高くなる。一方で、パートナーシップの対象に含まれれば、安定したサプライチェーンを確保できるというメリットもある。
実際、韓国企業は素早く対応している。現在、ハンファオーシャンとHD現代重工業は、最大6兆4,000億円規模とされるカナダの次期潜水艦事業(CPSP)をめぐり、ドイツなどの企業と競争中だ。今回のカナダ側の戦略発表により、現地での建造能力や技術移転力が受注競争の重要な鍵となった。豪州市場でも、すでにハンファ・エアロスペースがK9自走砲やレッドバック装甲車の現地生産基地を整備し、「豪州製」として認められるための土台を築いている。
NATO前防衛投資事務次長補のウェンディ・ギルモア氏は「これまでカナダ企業はほとんどの場合、米国企業と正面から競争せず、部品供給に注力してきた」と指摘した。その上で、両国の戦略が直接衝突することは少ないと予測する一方、「米国優先」と「カナダ優先」の方針がぶつかる局面では摩擦が続くとの見方を示した。













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