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トランプ政権、イラン誤算の全貌「ホルムズ封鎖はない」の確信が6日で崩れた

有馬侑之介 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

米国のドナルド・トランプ大統領と側近らが、イランの報復対応を巡って複数の誤算を重ねていたと、ニューヨーク・タイムズが11日に報じた。

米国とイスラエルがイランを攻撃する前の先月18日、米国のクリス・ライト・エネルギー長官は、昨年6月にイランを攻撃した際には原油価格が一時的に上昇した後、再び下落したと説明し、今回の攻撃がエネルギー市場に与える衝撃は大きくないとの認識を示していた。

トランプ大統領の他の側近らも水面下で同様の見方を共有し、世界の石油供給量の約20%が通過するホルムズ海峡をイランが封鎖する可能性を警告する声を退けていた。

ところがここ数日、イランがホルムズ海峡を通過するタンカーへの攻撃を示唆したことで、こうした判断が誤りだったことが鮮明になった。

イランの威嚇を受け、ホルムズ海峡では船舶の航行が全面的に止まり、原油価格は急騰した。トランプ政権は、国内のガソリン価格上昇を抑える手立てを探る対応に追われている。

今回の混乱は、トランプ大統領と側近らがイランの出方を見誤っていたことを示す象徴的な事例といえる。

イランは昨年6月12日の戦闘時とは異なり、米軍基地やアラブ諸国の都市、さらにイスラエルの人口密集地に向けて、ミサイルとドローンによる攻勢を続けている。

この対応を受け、米政府は大使館職員に緊急退避を命じたほか、原油高の抑制策を打ち出すため、当初の計画を場当たり的に修正せざるを得なくなった。

10日に米政府が議員向けの非公開ブリーフィングを行った後、米国のクリストファー・マーフィー上院議員はSNSで、米政府にはホルムズ海峡の再開に向けた対策がないと批判した。

米当局者の間では、政権に戦争終結の戦略がないことへの悲観論が強まっている。ただ、戦争は完全な成功だと主張し続けるトランプ大統領に対し、率直に進言しにくい空気が広がっているという。

度胸を示せ

トランプ大統領は、原油価格の高騰が収まらないことへのいら立ちを次第に強め、タンカーの船員らはホルムズ海峡を通過するだけの度胸を示すべきだと語った。

開戦前には、トランプ大統領の軍事顧問の一部が、イランは激しい報復に出ると警告していた。その一方で、イラン指導部を排除すれば、より現実路線の指導部が台頭するとの楽観論を唱える側近もいた。

トランプ大統領は、原油価格上昇の可能性を指摘する説明を受けながらも、イラン政権を排除する任務に比べれば原油高は短期的な懸念にすぎないとして退けたうえで、ライト長官と米国のスコット・ベセント財務長官に対応策の策定を指示した。

さらにトランプ大統領は、開戦から48時間が過ぎてようやく、米政府による保険保証や米海軍による護衛の可能性など、原油価格の安定化策を打ち出した。もっとも、護衛は現時点でも実施されていない。

ライト長官が10日、タンカー1隻の護衛に成功したとSNSに投稿した後、エネルギー市場と株式市場はいったん落ち着きを取り戻した。だが、その情報が事実ではないと判明すると、市場は再び混乱した。

米当局者の1人は、イランが海峡に機雷を敷設する動きを見せているとの情報があり、ホルムズ海峡の再開に向けた取り組みは難航していると明らかにした。

イラン側の動きはまだ初期段階にあるものの、準備の兆候だけでも米政府は強い警戒感を示していた。米軍は10日夜、海峡周辺でイランの機雷敷設船16隻を攻撃したと発表している。

エネルギー市場や主要原材料市場の混乱が長引くなか、共和党議員の間では、高止まりする原油価格が中間選挙に与える悪影響を懸念する声も出始めた。

潜在的な出口戦略

ホワイトハウス当局者らが、ホルムズ海峡は封鎖されないと確信していたことは、昨年にイエメンのフーシ派が紅海の海上貿易を妨害した経緯を踏まえると、不自然にも映る。

トランプ大統領は昨年3月、米海軍によるフーシ派攻撃を承認した際、フーシ派の攻撃が世界経済に数十億ドル規模の損失をもたらしたと指摘していた。

それにもかかわらず、イラン攻撃後に発せられるトランプ大統領のメッセージは一貫性を欠いており、米当局者らは、トランプ大統領が戦争目的を国民に十分説明できていないことに強いもどかしさを感じているという。

トランプ大統領は一方で、戦争が1か月以上続く可能性があると語りながら、他方では、非常に完全に、ほぼ終わったとも述べており、戦況に関する説明は揺れている。

これに対し、米国のマルコ・ルビオ国務長官とピート・ヘグセス国防長官は、比較的整理された発信に軸足を移し始めた。

ルビオ国務長官は9日、国務省の行事で、対イラン軍事行動の目標は、イランのミサイル能力を奪い、海軍を壊滅させることだと説明した。

この発言は、戦争の早期終結に向けた足場を整える狙いがあるとの見方が出ている。

一方のトランプ大統領は10日の記者会見で、米軍はすでにイランの弾道ミサイル能力と海軍を破壊したと誇示したうえで、イランがエネルギー供給の遮断に動けば、攻撃を大幅に強めると警告した。

しかし週末を過ぎると、戦争の出口を探る必要性は一段と高まった。原油価格が急伸し、米国の高額な兵器も急速に消耗しているためだ。

米国防総省当局者は最近の議会向け非公開ブリーフィングで、開戦から6日間で113億ドル(約1兆8,000億円)以上の戦費を投じたと説明した。兵器の消耗ペースは想定を大きく上回っているという。

こうしたなかでも、イランはむしろ米国とイスラエルへの警告を強めている。

イランのアリー・ラーリージャーニー最高国家安全保障会議書記は10日、SNSに、ホルムズ海峡は戦争推進派にとって敗北と苦痛の海峡になるだろうと投稿した。

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