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宇宙から来た“異物”だった──3I/ATLASに含まれるアルコールが常識外れの量、”別の太陽系”の痕跡か

梶原圭介 アクセス  

天文学者らが、太陽系の外から飛来し、昨年7月に発見された3例目の「星間彗星」3I/ATLASで、アルコールの一種であるメタノールが異常に多く含まれていることを確認したと、宇宙科学メディアSpace.comが最近報じた。

研究チームは、チリ・アタカマ砂漠にあるアタカマ大型ミリ波・サブミリ波干渉計(ALMA)を使い、彗星の周囲で広がるガス雲を観測した。その結果、単純なアルコール分子であるメタノール(CH₃OH)の強い信号が検出された。今回の研究成果は現在、プレプリント公開サイトアーカイブ(arXiv)に掲載されている。

引用:NSF
引用:NSF

3I/ATLASは太陽系の外から飛来し、太陽に近づくにつれて、表面の氷が太陽光で熱せられ、ガスやちりを放出した。放出された物質は、核の周囲に明るく広がるコマを形成し、ALMAはこれを通じて彗星の化学組成を詳しく分析することができた。

測定の結果、メタノールは太陽系の彗星で一般的に観測される割合を大きく上回っていたことが分かった。こうした化学的な偏りは、3I/ATLASが太陽系の彗星が形成された環境とは大きく異なる物理条件を持つ惑星系で生まれた可能性を示している。米国立電波天文台(NRAO)は、より低温、あるいは異なる化学組成を持つ環境で形成された可能性があると説明した。

今回の研究の筆頭著者であるアメリカン大学のネイサン・ロス教授は、「3I/ATLASを観測することは、まるで別の太陽系の指紋を採取するようなものだ」と述べ、「観測によってこの彗星が何でできているのかが分かる。しかも太陽系の彗星ではあまり見られない形で、メタノールが豊富に含まれている」と語った。

引用:NASA
引用:NASA

メタノールは宇宙では珍しい物質ではない。主に星間雲の中にある氷のちり粒子の表面で形成され、惑星形成の過程で彗星に取り込まれることが多い。ただ、3I/ATLASで検出されたメタノールの量は、太陽系の彗星で観測される水準と比べても異例に多かった。

3I/ATLASは2025年7月、小惑星地球衝突警報システム(ATLAS)によって発見された。星間空間から太陽系に侵入したことが確認された天体としては、3例目に当たる。1例目は2017年に見つかった「オウムアムア」、2例目は2019年に発見された「2I/ボリソフ」で、いずれも典型的な彗星の姿を見せていた。

3I/ATLASの発見後は、ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡をはじめ、世界各地の望遠鏡が観測を続けてきた。観測画像では、太陽光によって彗星の氷が熱せられ、ガスやちりが宇宙空間へ放出されることで生じた淡いコマと、ちりの尾が確認された。

ALMAの観測によると、シアン化水素は主に彗星の核から直接放出されていることが分かった。一方、メタノールは核だけでなく、コマの内部にある氷の粒子からも放出されていることが確認された。こうした氷の粒子は、小さな彗星のような役割を果たすという。研究チームによると、このような星間天体における詳細なガス放出の様子が、地図のような形で観測されたのは初めてだという。

天文学者にとって、3I/ATLASのような天体は極めて重要な研究対象である。星間彗星は、他の惑星系からやって来たメッセンジャーのような存在で、数十億年前の形成当時の化学的条件を比較的よく保っている。そのため、太陽系の外へ出ることなく、遠い宇宙の惑星系がどのような環境で形成されたのかを探ることができる貴重な機会となっている。

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