「ロシアンルーレットのような暮らし」…防空網を突破されたイスラエル国民の不安拡大

イランの弾道ミサイルが、イスラエルの主要な核施設がある都市への攻撃に成功したことで、イスラエル国内では自国のミサイル防衛システムに対する不安が広がっている。イランの軍事力を見誤っていた可能性があるとの懸念も出ている。
イスラエル軍当局によると、21日(現地時間)、イランの弾道ミサイル2発がそれぞれイスラエル南部ネゲブ砂漠の都市ディモナとアラドを直撃し、それにより市街地が破壊され、少なくとも175人が負傷した。核研究施設と原子炉があるこれらの都市は、イスラエル国内で最も強固な防空網が構築されている地域であり、この地域の防空網が突破されたのは今回が初めてだ。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「被害の規模と同様に懸念されるのは、イスラエル軍がこれらのミサイル迎撃を試みた事実を認めたことだ」とした上で、「迎撃失敗は、イスラエルの多層ミサイル防衛網に看過できない疑問を投げかける」と指摘した。
軍の内外では、技術的限界や運用上の要素、イランのミサイル戦術の変化など、複合的な要因が作用した可能性があるとの分析が出ている。イランが発射した一部のミサイルには、空中で多数の小型弾頭に分離する「クラスター爆弾」が搭載されていたとみられている。
イスラエルは、数十億ドル(数千億円規模)を投じて構築した多層ミサイル防衛システムを運用している。最上層の防衛システムであり、イスラエル版の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)と呼ばれる「アロー3」、2017年に実戦配備された「ダビデスリング」、2011年3月に初めて公開された「アイアンドーム」がこれに当たる。「アロー3」と「ダビデスリング」が中距離ミサイルの迎撃を担っている。
軍は、このように緻密に設計された防空体制により、弾道ミサイルの迎撃率が90%以上に達すると主張している。イスラエル軍のナダブ・ショシャニ報道官は、過去3週間にイランがイスラエルの空域に向けて発射した約400発の弾道ミサイルのうち、わずか4発だけがイスラエルの防空網を突破したと明らかにした。
ただ専門家らは、いかなるミサイル防衛システムも完全ではないと指摘している。「クラスター爆弾」はミサイル防衛システムを回避し、被害を与えている。NYTは、アラド、ディモナ、テルアビブ、エルサレム近郊のベイト・シェメシュなど、主要な被害地点4カ所以外にも、複数の地点がイランの大型ミサイルの破片や「クラスター爆弾」による被害を受けたと報じた。
1発の大型爆弾の中に数十~数百個の小型爆弾が入った「クラスター爆弾」は、地上数キロ上空で分解され、致命的な被害を与える。低高度での迎撃では防ぎきれない。「アロー3」を用いて、弾頭が分離された直後に迎撃ミサイルを衝突させ、大気圏内で無力化する必要があるが、これは大気中の小さな乱流にも影響を受ける極めて難しい作業だ。
「クラスター爆弾」の使用によって、イスラエル住民の不安はさらに高まった。テルアビブに住むアビアドさんは「ミサイル防衛システムはクラスター爆弾を迎撃対象として捉えられず、仮に迎撃を試みても阻止できない」と述べ、「この国に住むこと自体がロシアンルーレットのようだ」とCNNに語った。
イスラエル国内では、迎撃ミサイルの在庫不足を懸念する声も強まっている。昨年6月のイランとの「12日戦争」の際に、迎撃資産がかなり消耗されたとの分析が出ているためだ。イスラエル国防省は「長期戦に備えて十分な準備をした」と明らかにしたが、最近、イスラエルの高官が米国を訪問し、迎撃ミサイルの支援を要請した事実が伝えられると、迎撃ミサイルの調達負担が高まっているとの見方も出ている。
イランが同日、インド洋のディエゴガルシアにある英国軍基地に向けて弾道ミサイルを発射したことで、英国でもイランのミサイル能力に対する警戒感が高まっている。今回のミサイル発射により、英国のロンドンやフランスのパリなどがイランの射程圏内に入ることが改めて示されたという。ただ、英国のスティーブ・リード住宅・地域社会相は「イランが英国を標的にしているのか、あるいは標的にする能力があるのかについて、具体的な評価はない」と述べた。
















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