
国際通貨基金(IMF)が来週公表する「世界経済見通し」で、成長率を下方修正する見通しとなっている。米国とイスラエル、イランを巡る中東戦争の影響でコストが増大し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降続いてきた回復基調にブレーキがかかっている。
12日(現地時間)、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、今週ワシントンで開かれるIMFと世界銀行の春季会合を前に、経済専門家の間では悲観的な見方が広がっていると報じた。停戦が維持されたとしても、戦争による経済的な悪影響は長期化する可能性が高いと分析されている。
ブルッキングス研究所のエスワー・プラサド氏は、「世界経済は軌道を外れており、こうした衝撃はほぼ確実にインフレの急騰につながる」と指摘した。同研究所の分析では、戦争勃発前までは、世界経済は金融市場の好調や投資家心理の回復などに支えられ、新型コロナウイルス感染症以降で最も力強い回復局面にあったとしている。
プラサド氏は「成長鈍化の度合いは、戦争がどれだけ長期化するかに左右される」と述べ、「今後数週間で収束しない場合や中東全域に拡大する場合、世界経済の見通しに大きなリスクとなる」と警告した。
IMFの専務理事を務めるクリスタリナ・ゲオルギエバ氏も、「戦争という要因がなければ、経済見通しは上方修正されていた」としたうえで、「インフラの損壊やサプライチェーンの混乱により、最も楽観的なシナリオでも成長率の下方修正は避けられない」と述べた。
専門家の間では、短期的な停戦が実現したとしても、経済への打撃は長期化するとの見方が広がっている。
バークレイズのグローバルリサーチ責任者アジャイ・ラジャディヤクシャ氏は、「戦争が終わってもコストの負担が終わるわけではない。原油価格の上昇や西側中央銀行のタカ派姿勢への転換、消費余力の縮小などが戦争の長期的なコストになる」との見方を示した。
成長鈍化を超えた物価上昇、世界経済に「スタグフレーション」懸念
問題は、こうした衝撃が単なる成長鈍化にとどまらず、「スタグフレーション(景気後退下の物価上昇)」につながる可能性があることだ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、今年の世界の成長率見通しを従来の3.5%から3.1%に下方修正する一方、インフレ見通しは2.4%から3.3%へ引き上げた。同銀行は、「今回のスタグフレーションの影響は、成長よりも物価により早く及ぶ可能性がある」としたうえで、「これに伴い、各国の中央銀行は金融引き締め方向にシフトする可能性が高い」と分析している。
こうした中、各国政府と中央銀行の対応余力は限られている。主要先進国ではすでに財政赤字や債務水準が高止まりしており、景気刺激に向けた政策余地は限られている。
経済コンサルティング会社インディペンデント・エコノミクスは今回の事態について、1970年代のオイルショックになぞらえ、「経済・金融・地政学的構造に深い変化をもたらす可能性がある」と指摘した。
米金融大手JPモルガン・チェースのチーフエコノミストであるブルース・カスマン氏は、「大規模なエネルギー供給ショックは世界の成長を抑制しつつ物価を押し上げ、緩やかで一時的なスタグフレーション傾向をもたらす可能性がある」とし、今後、数週間の中東情勢の展開が世界経済の行方を左右する分岐点になるとの認識を示している。













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