「世界4位目前」だったインドが失速…ルピー急落に中東危機まで直撃

昨年、日本を抜いて世界4位の経済大国入り目前とみられていたインドが、内外の悪材料に直撃され、再び世界6位へ後退した。
国際通貨基金(IMF)が先月公表した経済見通しでは、インドは再び英国に抜かれた。さらに最近のイラン情勢による中東危機も重なり、インド経済への楽観論に陰りが見え始めている。
専門家らは、ルピー安など技術的要因による一時的後退との見方を示している。ただ、慢性的な若年失業や貧富格差など構造問題が解消されなければ、中長期的な成長力が損なわれる可能性もあると警告している。
世界4位目前から一転、順位後退
5日付のIMF「4月世界経済見通し」によると、2025~2026年度のインドの名目国内総生産(GDP)は約3兆9,160億ドル(約614兆1,100億円)となる見通しで、世界6位に後退した。
昨年4月時点では、日本を抜いて世界4位に浮上すると予測されていたが、結果的に予想より2ランク下落した形となった。
順位下落の主因としては為替が挙げられている。
IMFは各国経済規模比較でドル換算の名目GDPを基準としているが、対ドルでのルピー相場が2024年の1ドル=84.57ルピー(約140円)から今年は92.59ルピー(約154円)まで約11%下落したことで、ドル換算ベースの経済規模が縮小したためだ。
インド有力紙タイムズ・オブ・インディアは、国内経済が成長していてもドル換算規模が縮小する為替要因が最大の背景だと分析した。
さらに、インド政府がGDP算出の基準年を2011年から2022年へ変更したことも影響した。
算出方法が精緻化されたことで、名目GDP総額が技術的に下方修正されたためだ。
ダン・アンド・ブラッドストリートのアラン・シン主任エコノミストは、今回の順位下落について「統計調整と為替変動による結果にすぎず、経済ファンダメンタルズは依然として堅調だ」と評価した。
世界3位目標は2031年へ後ずれも
一方、インド国内では依然として楽観論が優勢だ。
インド政府のV・アナンタ・ナゲシュワラン主席経済顧問(CEA)は現地メディアとのインタビューで、GDP順位はドル換算基準のため為替変動に敏感にならざるを得ないと説明した。
そのうえで、現在のルピー安は経済体力の問題ではなく、世界的な不確実性によるものだと強調した。
さらに「実質成長率は依然として世界最高水準にある」とし、「2027年の世界4位復帰は十分可能だ」との見方を示した。
現地金融業界でも、インドの世界4位復帰は2027~2028年ごろとの見方が多い。
また、ドイツを抜いて世界3位へ浮上する時期については、従来予測より約1年遅れの2030~2031年になる可能性が高いとみられている。
ただ、インド国内外では過度な楽観論を警戒すべきだとの声も少なくない。
アジア経済専門家のウィリアム・ペセック氏は米経済誌フォーブスへの寄稿で、モディ政権が掲げるメーク・イン・インディア政策について、12年が経過した現在も製造業比率は目標の25%に届かず17%台にとどまっていると指摘した。
また、高成長にもかかわらず、若年失業や低い1人当たりGDPなど構造問題は依然として解消されていないと分析した。
実際、インドのGDP総額は日本を急速に追い上げている一方、1人当たり所得は日本の約12分の1水準にとどまっており、量だけでなく質の成長も必要だとの指摘が続いている。
インド準備銀行(RBI)のラグラム・ラジャン前総裁も、「数字上の勝利」を超え、外部衝撃に耐えられる経済体質を構築することが重要だと訴えてきた。
原油高騰が最大リスクに
今後のインド経済を左右する最大要因としては、イラン情勢による中東発の原油価格高騰が挙げられている。
グローバルコンサルティング企業EYインド法人は最近の報告書で、国際原油価格が1バレル=120ドル(約18,800円)水準で推移した場合、インドのGDP成長率は6%台まで低下し、インフレ率は6%を超える可能性があると予測した。
EYインド法人のガウラブ・モダ氏は、インドはこれまで堅調な成長と輸入先多角化によって高油価に耐えてきたものの、価格上昇が長期化すれば物価や物流コスト全般に深刻な圧力がかかる可能性があると分析した。
さらに、エネルギー輸入依存度の高い構造上、今回の危機は単なる順位変動を超え、実体経済の需要縮小につながる恐れがあると指摘した。
HSBCによると、インドの製造業購買担当者景気指数(PMI)は、エネルギー価格上昇と供給制約の影響で4年6カ月ぶり低水準に落ち込むなど、産業現場では減速の兆候も現れている。
















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