
台湾の立法院が、野党・国民党の主導で大幅に減額された特別国防予算案を可決したことを受け、米国務省が懸念を表明した。中国の軍事的圧力が強まるなか、台湾の中核的な防衛力を強化するための予算執行が遅れるのは適切ではないとの認識を示した。
9日、ロイターによると、米国務省報道官は、不必要な遅れの末に今回の特別国防予算案が成立したこと自体は歓迎できるとする一方、防衛力整備に向けた予算措置がさらに遅れれば、中国共産党への譲歩になるとして遺憾の意を表した。米国は台湾と正式な外交関係を持たないものの、台湾の防衛力強化を支える最大の武器供給国に位置付けられている。
台湾の立法院は7日、台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統の政権が提出した特別国防予算案を一部減額したうえで可決した。当初、政権側は中国への抑止力を高めるため、約400億ドル(約6兆2,800億円)規模の予算を編成していたが、議会が承認したのはこのうち約3分の2に当たる250億ドル(約3兆9,300億円)だった。可決された予算の多くは米国製兵器の購入に充てられる見通しだが、台湾製のミサイルやドローンの開発・調達関連事業は削られたと伝えられている。
国民党は、国防費の増額そのものに反対しているわけではないとの立場を示している。ただ、政府提出案には不明確な項目が多く、腐敗の余地があることを減額の理由に挙げた。これに対し、与党の民主進歩党は、中国の軍事圧力が強まる局面で野党が安全保障問題を政治争点化しているとして反発している。
台湾議会での与野党対立は、このところ一段と激しさを増している。頼総統は2030年までに国防費を国内総生産(GDP)比5%まで引き上げる方針を掲げているが、前年実績は約2.45%にとどまっていた。国民党が多数議席を握る構図のなか、予算関連法案はたびたび停滞しており、先月に国民党の鄭麗文主席が北京を訪れて習近平国家主席と会談して以降、与野党の対立はさらに深まった。国民党は台湾独立路線に反対し、中国との対話の必要性を訴えている。
台湾国防部も強い懸念を示した。声明では、一部の重要調達案件が予算案から外れたことで戦力上の空白が生じる可能性が極めて高いと指摘し、深刻化し続ける安全保障上の脅威に直面していると強調した。とりわけ、台湾版アイアンドームと呼ばれる新型防空システム「T-Dome」の整備事業に支障が生じる見通しとなり、ミサイルを適時に確保できなければ防空能力に深刻な影響が及ぶ恐れがあるとしている。
今回の米国務省の見解表明は、14日から予定されている米国のドナルド・トランプ大統領の訪中を前に出された点でも注目される。中国はこれまでも、米国による台湾向け武器売却の中止を繰り返し求めてきた。米国のマルコ・ルビオ国務長官はトランプ大統領の訪中に関連し、現状を強圧的または強制的に変更することは望まないと述べ、そのような変化は世界を不安定化させるとの認識を示した。そのうえで、台湾問題は会談で取り上げられる見通しだが、中心議題にはならないとの見方を示している。













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