中国、パキスタンへ通常型潜水艦を初引き渡し…2032年までに計8隻配備へ

米国・イスラエルとイランの戦争をめぐる停戦交渉の仲介にパキスタンが積極的に動く中、中国がパキスタンへ通常型潜水艦を初めて引き渡したことを、中国国防省が9日に確認したと、フォーカス台湾が報じた。
引き渡し式典は先月30日、海南島・三亜海軍基地で行われた。
式典には、アースィフ・アリー・ザルダーリー大統領やナビード・アシュラフ海軍参謀長ら、両国の高官級軍関係者が出席した。
ザルダーリー大統領は、「潜水艦の就役はパキスタン海軍にとって歴史的な節目であり、信頼性が高く、均衡の取れた防衛態勢を維持するという決意を示すものだ」と述べた。
また、「パキスタンは主権を守り、海洋利益を保護し、重要な経済的生命線の安全を確保する能力を備えている」と語った。
パキスタンのアシュラフ海軍参謀長は、「今回の就役は、長年続いてきたパキスタンと中国の、さらに深まる友好関係に新たな章を開くものだ」と述べた。
パキスタン海軍は、このS20P潜水艦に「ハンゴル(Hangor)」の名称を付与した。
パキスタン側は、1971年にハンゴル潜水艦がインド海軍の「INSククリ(Kukri)」を撃沈したと主張しており、新たに建造されるハンゴルもその栄光の歴史を受け継ぐことになるとしている。
中国は今後2032年まで、中国とパキスタンで建造される潜水艦8隻を順次引き渡す予定で、パキスタン海軍の戦力向上に大きく寄与するほか、インドとの戦力バランスにも影響を与えるとの見方が出ている。
今回の潜水艦引き渡しは、両国が2015年にAIP(非大気依存推進)システムを搭載した潜水艦8隻を発注してから、11年を経て実現したものだ。
また、今回の潜水艦引き渡しは、昨年5月のインド・パキスタン空中戦で、中国製J-10戦闘機に搭載されたPL-15ミサイルがフランス製最新鋭ラファール戦闘機を撃墜したとされる事例に続き、両国間の軍事協力深化を示す事例としても指摘されている。
中国国防省の蒋斌報道官は、「今回の協力は両国間における通常の装備協力であり、両国の全天候型戦略協力パートナーシップを如実に示すものだ」と説明した。
契約規模は総額50億ドル(約7,850億円)で、当時としては中国の武器輸出として過去最高記録を更新した。これは、インドがフランスからカルバリ級潜水艦を購入したことへの対抗措置との見方もある。
S20P潜水艦は、元級通常推進潜水艦をベースに開発された輸出型モデルだ。
全長79.5m、排水量2,550t、最大速度17〜18ノット、最大潜航深度300m。AIPシステムを使用した場合、最大20日間の潜水任務が可能で、乗員数は38人とされる。
533mm魚雷発射管6門を備え、機雷や対艦ミサイルの発射も可能だ。
中国ポータルサイト「捜狐(Sohu)」の9日付軍事チャンネルによると、今回のS20P潜水艦は、2015年の初契約時点では2,000tだったものの、度重なる改良を経て、引き渡し時点ではまったく別の潜水艦へと生まれ変わったという。
全体的な形状は、タイ向け輸出型「S26T」とほぼ同一で、高度にカスタマイズされた改良型だと捜狐は伝えた。
つまり、南シナ海とは大きく異なるインド洋の水深や海上条件、潜航能力に対する要求などを総合的に考慮した結果だとしている。
この潜水艦はAIPシステムを搭載しており、最高水準に近いステルス性能を備えているほか、水中で音を立てずに任務を遂行できるとされる。
さらに、潜水艦発射型対艦ミサイル(SLAM)の搭載も可能で、特にパキスタンが独自開発した「バブールIII」潜水艦発射巡航ミサイル(BLSC)も発射できるとしている。
このミサイルの射程は450kmで、インド空母の対潜戦区域外から、インド西海岸の主要目標を正確に攻撃できる。
また、潜水艦の引き渡し方式も注目されている。最初の4隻は中国で建造され、残る4隻はパキスタンへ技術移転された上で、カラチ造船所で独自建造される予定だ。
中国で建造される4隻は2028年までに引き渡され、パキスタンで建造される4隻は2028年から2032年末まで順次引き渡される予定だ。
捜狐は、こうした潜水艦引き渡しについて、「1970年代後半に建造されたフランス製旧式潜水艦2隻のみに依存してきたパキスタン海軍にとって、質的飛躍を意味する」と分析した。
さらに、「今後5〜10年以内に、南アジアの水中戦力バランスがインドからパキスタン側へ傾く可能性もある」との見方まで出ていると、捜狐は伝えた。
共産党機関紙「グローバル・タイムズ」の元編集長・胡錫進氏も9日、中国ポータルサイト「新浪網」への寄稿で、「中国技術を導入したパキスタン海軍の戦力は大幅に強化され、アラビア海の地政学的構図に新たな変数を加えることになる」と記した。
パキスタンは近年、中国製武器の最大購入国となっている。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の世界武器移転データベースによると、パキスタンは2021年から2025年まで、武器の最大80%を中国製が占めていた。
















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