
ドナルド・トランプ米大統領は物価安定を掲げて再選を果たしたが、政権発足後に推進した主要政策が、かえってインフレを再加速させているとの批判が高まっている。生活費に敏感な米国有権者の忍耐も限界に近づいているとの指摘が出ている。
17日(現地時間)のニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、先月の米消費者物価指数(CPI)は約3年ぶりの高い伸びを記録し、賃金上昇率を上回ったとのことだ。企業コストの上昇率も2022年以来の高水準となった。家計債務が増加し、貯蓄が減少する中、消費者信頼感指数は今月、過去最低水準まで落ち込んだ。
こうした状況の背景には「イラン戦争」がある。インフレ抑制を公言していたトランプ大統領は、政権発足後に高関税政策を推し進め、輸入物価を押し上げた。さらに、その余波が収まらないうちにイラン戦争に踏み切り、ガソリン価格を再び急騰させた。
米国自動車協会(AAA)によると、全米平均のガソリン価格は1ガロン当たり約4.52ドル(約718円)となり、1年前と比べて40%以上上昇した。これは通勤費から食料品価格まで、経済全般に影響を及ぼしている。
進歩系シンクタンク、グラウンドワーク・コラボレーティブの政策・アドボカシー責任者アレックス・ジャケス氏は、「関税とイラン戦争はトランプ政権における二つの主要政策だが、どちらも国内物価を明らかに押し上げる結果を招いている」と指摘した。
特にエネルギーコストの急騰は、ここ数年にわたり高物価や高金利、雇用市場の減速に耐えてきた米国の家計にとって、深刻な追加打撃となっている。
さらに、住宅費や保育費の負担に加え、人工知能(AI)の普及に伴う大規模な人員削減への懸念も重なっている。

しかし、トランプ大統領は先週、経済状況が戦争終結に向けた計画にどの程度影響するかとの質問に対し、「米国民の家計事情については考えていない」と答え、波紋を広げた。トランプ大統領は、米経済は依然として堅調であり、戦争が終わればガソリン価格も自然に下落するとの立場を示している。
トランプ大統領の経済顧問を務めた保守系経済学者スティーブン・ムーア氏は、「物価を下げるという公約を信じていた有権者が、11月の中間選挙で共和党に審判を下す可能性がある」としたうえで、「ガソリン価格は、人々が自身の経済状況を判断するうえで最も重要な指標だ」と述べた。
保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の経済学者マイケル・ストレイン氏は、「トランプ大統領がジョー・バイデン前大統領と同じ過ちを繰り返している点は驚きだ」とし、「両大統領とも物価上昇を一時的な現象とみなし、有権者が感じる負担を過小評価している」と指摘した。
それでもホワイトハウスは楽観的な姿勢を崩していない。米国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は最近のFOXニュースのインタビューで、米国の国内総生産(GDP)成長率が今年6%を超える可能性もあると主張した。トランプ大統領と側近らは、AIブームを背景に史上最高値を更新した株式市場や、予想を上回る雇用指標を経済回復のシグナルとして強調している。
しかし市場では、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が急速に後退している。トランプ大統領が指名したケビン・ウォーシュ氏は、新FRB議長として上院の承認を通過したものの、FRB内部ではイラン戦争などの地政学的リスクが解消されるまで、利下げには慎重であるべきだとの見方が強まっている。
米資産運用会社バンガードのシニアエコノミスト、ジョシュ・ハート氏は、「利下げへの道は極めて狭くなった」としたうえで、「すべてはイラン戦争がどれだけ早く終結するかにかかっている」と述べた。













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