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海上の原子力発電所…米原子力空母「フォード」、電力を発電して陸地へ供給

織田昌大 アクセス  

引用:米海軍
引用:米海軍

米海軍の最新鋭原子力推進航空母艦「ジェラルド・R・フォード」が、海上に浮かぶ原子力発電所となる興味深い試験を実施する。先月24日(現地時間)、アメリカの軍事専門メディア「The War Zone(TWZ)」は、今夏、フォード艦が陸上基地へ電力を供給する能力を実演する予定だと報じた。今回の試験は、空母が通常の発電所のように発電し、それを陸上へ供給するという点が注目を集めている。フン・カオ米海軍長官代行は、先月14日、米下院軍事委員会の公聴会に出席し、「今夏、ノーフォーク海軍基地は空母から電力供給を受けることになる」と明らかにしていた。同氏は具体的な艦名は言及しなかったものの、この試験を実施可能なのは、ノーフォークを母港とするフォード艦のみとみられている。

フォード艦の発電所として機能することが可能なのは、次世代型原子炉である「A1B原子炉」2基を搭載しているためだ。この2基の原子炉による総発電能力は1400メガワット(MW)に達し、これは原子力発電所1基分に相当する規模で、人口10万人規模の都市全体が同時に使用できる電力量に匹敵する。

出典:ロイター通信
出典:ロイター通信

既存電力源が破壊された場合を想定した試験

米海軍がこのような試験を行う理由は、戦争などで既存の電力源が使用不可能となった場合に備えるためだ。敵のミサイル攻撃やサイバー攻撃によって陸上の送電網が破壊された場合でも、港に停泊中の空母が電力を供給し、基地内の指揮統制室や防空網を直ちに正常稼働させる狙いがある。さらに、大規模地震や台風などの災害救助の場面でも空母を派遣することで民間向けの臨時発電所として活用することも可能だ。

TWZは「艦船の電力を陸上へ供給するという発想自体は、1929年に米海軍のディーゼル・蒸気船航空母艦レキシントンが、干ばつによって停電したワシントン州タコマ市へ電力を供給した前例がある」とし、「有事の際に敵の最優先攻撃目標となる空母を、防御面で脆弱な港湾に停泊させることが実現可能かについては疑問も残る」と指摘した。

引用:米海軍
引用:米海軍

326日間の長期派遣任務を終えて帰還

2017年に就役したフォード艦は、10万トンを超える世界最大級の空母で、4,500人以上の乗組員を収容できる。特に、F-35CやF/A-18E/Fスーパーホーネットなど計75機の航空機を運用できるほか、駆逐艦4隻と少なくとも1隻の潜水艦も伴う、米海軍の中核的な海上プラットフォームである。フォード艦は昨年6月にノーフォーク港を出港し、当初は欧州への巡航任務を目的に地中海などで作戦を遂行していた。しかし同年11月には、ベネズエラのマドゥロ大統領拘束作戦への対応のためカリブ海へ移動し、さらに今年2月には中東情勢の緊張化によって再配置命令を受け、紅海北部海域へ移動した。通常、空母の派遣期間は6〜7カ月とされるが、フォードはそれと比べてほぼ2倍に当たる長期間にわたり任務に投入され、最近になって326日間の長期派遣任務を終えて帰還した。

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