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イラン、ホルムズ海峡の統制強化…「世界経済を揺るがす切り札」維持か

望月博樹 アクセス  

イラン、ホルムズ海峡の統制強化…「世界経済を揺るがす切り札」維持か

引用:プレスTV
引用:プレスTV

イランがホルムズ海峡への影響力を強めることで、世界経済や物流に大きな打撃を与えている中、イランがこうした支配力を容易に手放すことはないとの分析が出ている。

イランはすでに少数のミサイルや無人機(ドローン)だけで、世界で最も重要な石油輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖できる能力を示した。

ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約5分の1が通過する要衝だ。米国はイランによるホルムズ海峡封鎖に対し、対抗措置を講じてきた。

4日(現地時間)CNNによると、専門家らは米国とイランの間で終戦合意が成立したとしても、ホルムズ海峡に対するイランの影響力は長期化すると予測したという。合意が成立しても、イランが手にした「エネルギー兵器」を取り除くことは難しいとの分析が大勢を占めている。

各国はホルムズ海峡や中東地域を迂回して供給網の多様化を進めているが、それに伴うコスト増は避けられないとみられる。

海峡の安全性を巡る不透明感は、石油や天然ガスだけでなく、肥料、航空燃料、ヘリウム、アルミニウムなど幅広い商品に影響を及ぼしている。

米ユーラシア・グループの上級アナリスト、グレゴリー・ブリュー氏は「イランは米国とイスラエルによる大規模空爆を受けても海峡を封鎖し、その状態を維持する力を持っていることを示した」と指摘し「これは誰もイランから奪うことのできない力だ」と語った。

さらにブリュー氏は「ホルムズ海峡への支配力こそ、イランにとって新たな切り札だ」と評価した。

ホルムズ海峡通行料

複数の専門家はホルムズ海峡が封鎖されるよりも、イランが一定の統制権を持ちながら航行が維持される方が、世界経済への打撃は小さいと指摘している。

調査会社Kplerは今年4月、イランとオマーンが共同管理する海峡の運営形態に関する報告書を公表した。英国の研究者らも同様の見解を示している。

イランはホルムズ海峡の全面開放を求める米国の要求に対抗し、海峡の統制権を制度化する動きを進めている。先月にはホルムズ海峡通航管理機関であるペルシャ湾海峡庁(PGSA)を設立し、新たな通航規則の監督を開始した。規則にはイラン当局の審査を経た上で通行料を徴収する仕組みも含まれている。

これに対し米国はPGSAに制裁を科し、海運会社が安全な通航を目的としてイランと契約を結ぶことを禁止した。さらに、イランへ通行料を支払う企業に対する二次制裁も示唆している。

エネルギー調査会社ウッド・マッケンジーの石油市場担当副社長アラン・ゲルダー氏は「重要なのはホルムズ海峡を通じた石油輸送が十分な規模で再開されることだ」とし「そうなればエネルギー市場への衝撃は和らぎ始める」と述べた。

ウッド・マッケンジーの経済部門責任者ピーター・マーティン氏は海峡封鎖が年末まで続けば、世界の原油価格の基準となるブレント原油価格が1バレル当たり200ドル(約3万2,000円)近くに達する可能性があると警告し「そうなればエネルギー危機は世界的な経済危機へ発展しかねない」と警告した。

ゲルダー氏は通行料制度によってタンカーの通行数が戦前の1日約140隻の水準まで回復すれば、少なくとも原油価格への影響は限定的になるとの見方を示した。

ゲルダー氏は海運情報会社ロイズ・リストの統計を引用し、イランがタンカー1隻当たり200万ドル(約3億2,000万円)の通行料を課した場合でも原油価格への影響は1バレル当たり約1ドル(約160円)の上昇にとどまるとの試算を紹介した。

代替輸送ルートの模索

イランがホルムズ海峡の統制権を制度化するかにかかわらず、この海域の長期的な安全性に対する懸念は残る見通しだ。

こうした状況を受け、湾岸産油国はすでに代替輸出ルートの活用や関連投資を進めている。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)はそれぞれ東西パイプラインとハブシャン・フジャイラ・パイプラインを通じた輸出を拡大した。UAEはさらにホルムズ海峡を迂回する第2のパイプライン建設も進めている。

一方で、クウェートやカタール、バーレーンなどにとってはサウジアラビアやイラク経由のパイプライン利用が必要となるため、政治面・商業面の双方で実現のハードルは高いとされる。

ゲルダー氏は「パイプライン建設は通常、国境を越える大規模インフラ事業となる」とし「多額の費用と長い期間を要し、短期間で完成させることは難しい」と説明した。

エネルギー安全保障への関心高まる

イラン戦争によってホルムズ海峡の物流が混乱したことで、世界的にエネルギー安全保障への関心が高まっている。2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて発生したエネルギー危機を想起させる状況だ。

湾岸地域への依存を減らすため、各国はエネルギー供給網の多様化を進めており、中南米など他の産油地域への投資や電力・再生可能エネルギー分野への投資拡大も見込まれている。

ただし、石油資源が豊富な中東は当面、世界のエネルギー需要を支える中核地域であり続ける見通しで、イランが持つ「新たなエネルギー兵器」の影響力も引き続き大きいとみられる。

ブリュー氏は「世界経済はこの現実を受け入れなければならない」とし「ホルムズ海峡とペルシャ湾の安全保障がイランの行動や決定に大きく左右されることを意味する」と述べた。

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