
ドナルド・トランプ米大統領とピート・ヘグセス国防長官は、過去最大となる総額1兆5,000億ドル(約240兆4,300億円)の国防予算の確保に向け、共和党議員の説得に力を入れている。しかし、イランとの長期的な軍事衝突による世論の反発や、議会内での反対論が重なり、共和党内でも実現性を疑問視する声が広がっている。
14日(現地時間)、米紙ザ・ヒルなどによると、ヘグセス氏は先週、少なくとも2回にわたり下院共和党指導部と会談し、国防費増額案について協議した。直近の会合は11日に国防総省(ペンタゴン)で開かれ、ジョディ・アーリントン下院予算委員長や、共和党研究委員会(RSC)のオーガスト・フルーガー委員長らが出席したという。
トランプ氏も議会への働きかけを強めている。10日夜には共和党議員らに対し、予算調整措置を活用して3,500億ドル(約56兆910億円)規模の国防費増額案を成立させるよう求めた。
トランプ政権は、既存の国防予算1兆1,500億ドル(約184兆2,900億円)に、予算調整手続きを活用して3,500億ドルを上積みし、総額1兆5,000億ドル規模の国防予算を実現する構想を描いている。通常法案で必要となる上院60票のハードルを避け、単純過半数で予算案を処理しようとする狙いがあるとみられる。
ホワイトハウスはこれとは別に、イラン空爆で使用した弾薬の補充や、中東地域における軍事態勢の維持に向けた緊急追加予算の編成も検討しているという。当初は約2,000億ドル(約32兆500億円)規模が取り沙汰されていたが、その後の内部協議を経て、800億~1,000億ドル(約12兆8,200億円~16兆200億円)程度に縮小されたと伝えられている。
ヘグセス氏は共和党強硬派の議員らに対し、イランやベネズエラでの軍事作戦によって生じた戦力上の空白を埋めるため、追加予算が必要だと説明したと伝えられている。
しかし、議会内の反応は冷ややかだとザ・ヒルは報じた。民主党は、イランに対する軍事作戦について議会の承認が得られていない以上、追加の国防予算を認めることはできないとの立場を鮮明にしている。
上院軍事委員会の民主党トップであるジャック・リード議員は、「議会がこの軍事行動を承認するまでは支持すべきではない」と主張した。また、行政府が追加予算要求をまだ議会に提出していないことについて、「戦争費用の増大に対する世論の反発を意識している可能性がある」との見方を示した。
リード氏は、実際の費用が2,000億ドル(約32兆600億円)を超える可能性に言及し、総額が明らかになった際には世論の反発が一段と強まる可能性があるとの見方を示した。
現時点で明らかになっている費用だけを見ても、その負担は小さくない。米国防総省関係者によると、イランとの軍事衝突に伴う費用は5月初め時点で約290億ドル(約4兆6,500億円)に達しており、最近では300億ドル(約4兆8,000億円)台半ばまで膨らんでいると推定されている。ただ、この金額には中東地域にある米軍基地の被害復旧費用などは含まれておらず、実際の負担はさらに膨らむ可能性があるとの分析も出ている。
こうした懸念は民主党にとどまらず、共和党内にも広がっている。
上院歳出委員会国防小委員会の委員長を務めるミッチ・マコーネル共和党議員は、3回目の予算調整案について、実現性に乏しいとの見方を示した。スーザン・コリンズ議員も、国防費の財源確保を追加の予算調整措置に過度に依存すべきでないという立場を明らかにした。ジョン・スーン上院院内総務も、「上院50票、下院218票を確保できるのであれば検討できるが、現時点ではその結果を確信できない」と述べ、慎重な姿勢を示した。
それでもトランプ氏は譲らない。
トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、共和党議員らに対し、予算調整法案を速やかに成立させるよう求めた。
このパッケージには、「ゴールデン・ドーム」ミサイル防衛構想の推進や海軍戦力の拡充に加え、F-47戦闘機とB-21爆撃機への支援、弾薬備蓄の拡大、宇宙・ドローン戦力への投資などが盛り込まれる見通しだ。
















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