
ウクライナ軍のドローンがロシアの重要インフラを相次いで攻撃する中、ロシアの防空網に穴が開いたのではないかとの見方が出ているとドイチェ・ヴェレが21日(現地時間)に報じた。
ウクライナ軍のドローンは18日、ロシアの首都モスクワを攻撃した。ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ロシアに対する最大規模の攻撃となり、ロシアの防空体制に弱点があるのではないかとの議論を呼んでいる。
モスクワ地域の燃料供給の約40%を担う製油所では火災が発生し、攻撃後は数日間にわたり操業が停止したとされる。また、ロシア最大の空港では利用客らが避難する騒ぎとなった。SNSには、ロシアの防空網がドローンの迎撃に失敗したように見える映像も相次いで投稿された。
ウクライナの航空専門家で元空軍将校のアナトリー・フラプチンスキー氏は18日、モスクワの防空網が突破された背景として、ロシア防空網の構造的な弱体化とウクライナの攻撃技術の向上という2つの要因を挙げた。
フラフチンスキー氏は「パンツィリ-S1などロシアの防空システムは巡航ミサイルのような大型の目標を迎撃するために設計されている」とし「これらのシステムは金属製でレーダーに映りやすい目標を前提に調整されている」と指摘した。
その上で「現在のドローンはプラスチックや合板などの複合素材で製造されることが多く、ロシアの防空システムでは小型ドローンを十分に探知できない可能性がある」との見方を示した。
さらに、大規模なドローン攻撃への対処には高度ごとに異なる迎撃手段を備え、速度や形状の異なるミサイルやドローンに同時対応できる多層防空システムが最も効果的だと説明した。一方で、ロシアは防空システムの一部をウクライナ占領地域へ再配置したため、多層防空体制が崩れたと分析した。
フラフチンスキー氏は「現在のロシアの防空システムは一体的で緻密な防空網というより、各地をつなぎ合わせた断片的な防衛網に近い」と評価した。
また、ロシアは長距離地対空ミサイルシステムS-300をウクライナへの地対地攻撃に転用した結果、迎撃ミサイルの在庫不足を招いたとも主張した。S-300は本来、防空迎撃用として開発されたシステムであり、米CBSもウクライナ当局者の話として、ロシアのS-300の在庫が不足している可能性を報じている。
フラプチンスキー氏は「ロシアは自らがウクライナに強要しようとした『消耗戦の論理』という罠にはまった」とし「ウクライナの防空網を圧倒するためS-300を攻撃用に大量投入した結果、自国の迎撃ミサイルの在庫を消耗した」と語った。
さらに、ウクライナの長距離ドローンは複雑な飛行ルートを設定し、迎撃されやすい空域を回避する能力も向上していると説明した。
一方、ロシアの反体制派軍事分析家で調査団体・紛争情報チームの創設者であるルスラン・レビエフ氏はドイチェ・ヴェレに対し「ミサイルがドローンに命中せず、そのまま通過する映像を見れば、専門知識のない人は防空網が機能していないという印象を抱くだろう」と述べた。
しかしレビエフ氏は、ロシアの防空網が弱体化したことを示す明確な証拠は見当たらないと指摘した。ロシアはモスクワ上空に飛来した無人機の90%以上を撃墜し、防空網を突破した少数のドローンが大きな被害を与えたとの分析だ。
レビエフ氏は問題の本質は物量にあると分析する。大規模なドローン攻撃を防ぐには膨大な装備が必要で、攻撃規模が拡大するほどロシアとウクライナの双方が同じ課題に直面すると指摘した。
また、ロシアの広大な国土も防衛を難しくしている要因だという。レビエフ氏は「ロシア全土を覆う隙のない防空網や巨大な防護シールドを構築することは不可能だ」と述べた。
さらに、モスクワは高層ビルが多く都市開発が密集しているため、ドローンが建物の陰を飛行してレーダー探知を回避しやすく、攻撃に対して脆弱だとも説明した。
レビエフ氏は18日のウクライナ軍によるドローン攻撃について「軍事的な情勢を大きく変えるものではない」とし「軍事的効果よりも政治的な打撃を狙ったものだ」と分析した。9月に予定されているロシア下院(国家院)選挙を前に世論に影響を与える狙いがあるとの見方を示している。
これに対し、ロシア側も今回のウクライナ攻撃の影響を小さく見せようとしている。ロシアのクレムリン報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、ロシアの防空網は正常に機能したと強調し「ロシア軍によるウクライナへの攻撃の成果に注目してほしい」と促した。













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