中国、1〜5月の対日タングステン・レアアースの対日輸出は0件
日本の先端製造業で重要鉱物の調達に支障 備蓄活用やスクラップ再利用拡大で対応
ヒューマノイドロボットなど技術自立が進展
米国との通商摩擦でも強硬姿勢を維持
国際通商環境で中国の存在感が高まるにつれ、中国と日本・米国との対立も表面化している。ドナルド・トランプ米大統領の第2次政権が関税を武器に中国への圧力を強める一方、中国は資源供給網における優位性と技術自立の進展を背景に対抗姿勢を強めている。中国との関係悪化を背景に、日本では原材料の調達に支障が生じるなど影響が広がっている。

23日(現地時間)ブルームバーグ通信によると、今年1〜5月の中国のタングステン酸塩など一部のタングステン製品とレアアースのジスプロシウム、テルビウムの対日輸出は0件だったという。イットリウムは2月と5月にそれぞれ7トンが輸出されたのみだった。
これらの鉱物は電気自動車(EV)、半導体、防衛産業など先端製造業に欠かせない重要資源だ。このため日本企業は現在、備蓄の活用や代替調達先の確保に追われている。タングステンは自動車工場の精密工具にジスプロシウムやテルビウムはEVモーター向け高性能磁石の主要材料として使用される。日本の自動車産業は国内総生産(GDP)の約10%を占めており、資材調達の停滞による影響が懸念されている。
日本企業はスクラップ(廃材)再利用の拡大などで対応を進めている。三菱マテリアルの再生原料依存率は現在約70%で、2030年までに100%へ引き上げることを目指している。
中国からタングステンを調達している住友電気工業の松本正義会長兼CEOは北京で開かれたイベントで「この状況が続けば、中国政府との対話は避けられない。中国からの供給が途絶えれば、日本の製造業に確実に影響が出る」と述べた。
日本への供給が滞った背景には、昨年11月の高市早苗首相による「台湾有事への関与」発言がある。中国はその後、日本の再軍備や軍国主義化を繰り返し批判し、今年1月にはデュアルユース(軍民両用)品目の対日輸出制限を実施した。
問題は両国関係の溝がさらに深まっている点だ。輸出制限による影響が拡大する中でも、高市首相は11月に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で中国の習近平国家主席との会談を望んでいないと伝えられている。
ブルームバーグ通信は関係者の話として「高市首相は中国から自身に向けられた個人攻撃的な批判に強い不満を抱いている」と報じた。また、中国側が会談に応じるかどうかも不透明な状況だという。
中国は覇権争いを続ける米国との通商問題でも強硬姿勢を維持している。米国防総省が今月8日、アリババ、BYD、Unitree Roboticsなど中国企業188社を中国軍支援企業に指定したことを受け、中国は22日に米企業56社への制裁措置を発表した。
中国は昨年、米国との関税戦争でも同様の姿勢を示していた。米国が対中関税を最大145%まで引き上げると、中国も125%の報復関税を課す方針を打ち出した。さらに大規模なレアアース輸出規制に踏み切ったことで、米国は中国との経済・貿易協議に応じざるを得なくなった。
これまで米国は関税や先端半導体の輸出規制を通じて中国を抑制してきたが、中国が事実上世界生産の大半を握るレアアースは先端産業の発展に伴い需要が急増している重要資源だ。
また、ファーウェイやアリババなどの中国企業は研究開発(R&D)に巨額の資金を投じており、ヒューマノイドロボットなどフィジカルAI分野でも先導するなど、中国は技術自立において相当な成果を上げつつあるとの評価も出ている。
米紙ワシントン・ポスト(WP)はアナリストの見方として「中国は米国との緊張緩和が進む中でも、最も強力な通商カードの一つであるレアアースを引き続き活用する意思を示している」と指摘した。
さらに「中国は供給網で優位性を持つ産業への統制を強化しており、レアアースだけでなくバッテリー、太陽光発電、先端製造業など幅広い分野で使われる製品への規制も拡大している」と分析した。














コメント0