姿を現すとの予想は外れる
遺族と側近のみが参列した非公開葬儀で
顔の大半を覆った男性が映像に

イランの前最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師の国葬は、6日間にわたって行われた。しかし、息子であるイランの最高指導者、モジタバ・ハメネイ師は最後まで姿を見せず、実際に統治できる状態にあるのかを巡って疑念が強まっている。
当初、4日から始まったアヤトラ・アリ・ハメネイ師の葬儀の最終日程に当たる埋葬式で、モジタバ・ハメネイ師が自ら祈祷文を朗読したがっていると報じられていた。本人の意向に加え、新たな最高指導者が国民の前に姿を現し、結束を呼びかけるべきだとの期待がイラン国内にあったものの、結局、公の場への登場は実現しなかった。
イランのイスラム革命防衛隊は国民の動揺を意識したのか、モジタバ・ハメネイ師の新たな写真を公開した。イスラム革命防衛隊は「中傷者たちの盲目的な憎悪にもかかわらず、神に感謝すべきことに、喪に服している最高指導者の健康状態は極めて良好だ」と説明している。ただ、ターバンを巻き、眼鏡をかけたこの写真にも演出された形跡が色濃く、撮影場所や日時は明らかではない。
今年3月、父親の後を継いで第3代最高指導者に就任したモジタバ・ハメネイ師は、この4か月間、公の場に姿を見せていない。肉声や動画も公開せず、発表を書面声明だけに限っているため、「段ボールのアヤトラ(最高指導者)」とやゆする声まで出ている。
イラン国内では、モジタバ・ハメネイ師が変装し、父親の葬儀にひそかに参列したのではないかとの臆測も広がっている。CNNが10日に報じたところによると、遺族と側近だけが参列した非公開の葬儀で、黒い野球帽をかぶり、顔の大半を覆うマスクを着けた男性が国営放送の映像に捉えられた。
この男性の体格や眼鏡などの特徴を、モジタバ・ハメネイ師と比較するSNSへの投稿も相次いだ。イランの政権支持派は、モジタバ・ハメネイ師が身元を隠し、弔問客とともに父親を追悼したと主張している。専門家の間では、隠遁生活が長期化すれば、最高指導者としての権威が揺らぎかねないとの分析が出ている。

一方、アヤトラ・アリ・ハメネイ師が埋葬されたマシュハドの「イマーム・レザー廟」は、シーア派イスラムで最も格式の高い聖地とされる。初代最高指導者で建国の父とたたえられるアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニ師が埋葬された公園墓地よりも、はるかに格が高い場所だ。
シーア派イスラムの主流派である十二イマーム派の第8代イマーム、アリー・レザーは、9世紀にスンニ派王朝のカリフによって毒殺され、殉教したと考えられている。そのため、「悲壮な殉教」を象徴する人物となった。
イラン指導部がアヤトラ・アリ・ハメネイ師をこの場所に埋葬したのは、米国とイスラエルの空爆で死亡した同師がシーア派イスラム信仰の頂点に達した人物であり、イランの神権政治を体現する存在だったと強調する狙いがあると解釈される。また、同師を殉教者として際立たせ、国内の結束を固めようとする意図もあるとみられる。















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