「円の価値が崩れ始めた」…1ドル163円、その先に待つ“最悪の連鎖”
安全資産のドルに資金集中…中東原油に依存する日本に逆風

中東情勢の不安が高まる中、円が再び暴落している。21日(現地時間)のニューヨーク外国為替市場で円相場は1986年以来、40年ぶりに1ドル=163円台を突破した。中東の事態悪化により安全資産であるドルへの選好が高まり、中東の原油に影響を受けやすい日本経済への懸念が高まった影響だ。一方、ウォンは同様の環境下でも安定した為替の流れを見せており、その背景が注目されている。
専門家らは円安現象が日本経済の最大のリスクだと指摘しながらも、M&Aなど活発な取引が続くと期待している。また、円安により日本国債への魅力が高まり、長期国債投資需要が増えると予想している。
円はなぜここまで弱くなったのか…韓国ウォンとの差が示す日本経済の現実
22日、日本経済新聞は、ここ2週間ほど狭い変動幅で動いていた1ドル=円相場は、米東部時間21日未明から下落に転じ、午前10時頃には直前の安値(7月1日、1ドルあたり162.84円)を下回った。
原因はイランとの全面戦争への懸念の高まりだ。中東情勢が緊迫化する中、ドル買いの動きが強まった。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドルインデックスは20日比0.2ポイント上昇し101台まで上昇した。6月中旬にアメリカとイランが戦闘終結のための覚書を締結したが、再び全面衝突の可能性が高まる中、投資家のリスク回避傾向によりドル買いが優位を占めた。原油価格の上昇によりアメリカにもインフレ圧力が波及するとの見通しから、米長期金利の指標となる10年物国債金利は4.6%台まで上昇した。金利収益を狙ったドル買いの流れも見られる。
中東産原油依存度が高い日本のエネルギー供給特性上、紅海封鎖の懸念は円売り圧力を助長している。三井住友銀行ニューヨークのシニア・エコノミスト坂本篤秀氏は最近のドル買いが円安の主因だと前提しながらも、「原油価格の上昇により日本の貿易赤字が増え、円安につながるという論理は中長期的に影響を与えるだろう」と分析した。
日経は政府の外国為替市場介入を予想した円買い注文が積み上がっていた状況で、円急落に伴う損切りの売りが殺到したことが円が瞬時に163円台に落ちた一因だと指摘した。
貿易赤字が拡大するなか、国内でもドル需要が増加し、円需要が減少したことも影響したとみられる。日本財務省が22日に発表した今年上半期の貿易統計(速報値)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は1兆144億円の赤字だった。半導体などの輸出が増えたため赤字額は昨年上半期より57.0%減少したが、6月の貿易赤字は予想よりも増えた。季節調整前の基準貿易赤字は5月の3,918億円赤字から4,069億円に増えた。市場専門家らは1,200億円の赤字を予想していた。
同様に中東の地政学的不安と国際原油価格上昇の影響を受けたドル・ウォン為替レートも22日午前、前日終値より5.7ウォン(1円)上昇し1479.1ウォン(164円)で取引された。
輸出・重工業者の為替ヘッジ性ドル売りとSKハイニックスの米国預託証券(ADR)上場に伴うドル供給期待が、為替レートの上限を制限したという分析がある。ただし、ドル高を追随する海外買いが流入する場合、ウォン安圧力はさらに強まる可能性がある。
株式市場は活況だが…「円安は日本経済最大のリスク」

アメリカの金融大手ゴールドマン・サックスのジョン・ウォルドロン社長兼COOは21日、日経とのインタビューで「円安は明らかに大幅なインフレを引き起こす可能性がある」と述べ、地政学的リスクを除けば、円安が日本の経済成長と市場に最も大きな影響を与えるリスクであるとの見解を示した。
ただし、ウォルドロンCOOは日本の株式市場が好調であり、M&Aやプライベートエクイティ活動も増加しているとし、楽観的な態度を示した。彼は「過去の活動的株主はアメリカでも投資家が企業に投下資本利益率(ROIC)の向上を求める圧力、企業内に眠る資産の有効活用、自社株買いの拡大を圧迫した」と述べ、「アメリカの活動的株主の第1波の特徴であったこれらの要素が今の日本でも特徴として定着しつつある」と説明した。続けて「日本の大企業が海外投資を拡大する動きもあり、M&Aビジネス環境は良好だと見ている」とし、政府が主導する企業ガバナンス改革についても肯定的に評価した。
ウォルドロンCOOは日本国債の魅力も高まっていると指摘した。彼は「金利上昇が進行し、債券投資で収益を狙える環境が戻ってきた」と述べ、「今日の日本には明らかにイールドカーブ(利回り曲線)が存在する」と語った。30年物国債利回りは今月初め、一時2.9%で30年ぶりの最高値を記録した。このような状況が日本債券市場に参加しようとする海外投資家にとっても好材料となり、ゴールドマン・サックスが取引を仲介する余地も広がると予測された。
しかし、極端な円安は長期的に日本経済の障害となることは避けられない。エネルギーと食料の対外依存度が高い日本経済の特性上、円安が続く場合、輸入物価の暴騰を引き起こしインフレを加速させるからだ。その結果、家計の実質所得が減少し、個人消費が急速に冷え込むことで、国内景気には一段の下押し圧力がかかる。特に今までとは異なり、主要企業の生産拠点が海外に移転した状態であるため、円安による輸出量増加効果は乏しい一方で、輸入額だけが増加し貿易赤字が固定化される懸念があるという分析がある。国債金利上昇の傾向も膨大な負債を抱える政府の財政を圧迫する要因になる可能性がある。















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