「中国がここまで怯えるワケ」小泉防衛相が“核議論”に踏み込み、日本の安全保障が新局面へ
小泉進次郎防衛相「核を含む全政策をタブーなく議論」
木原稔官房長官「非核三原則を堅持」
中国「戦後でも異例で危険、再軍事化を加速」
被爆者団体も反発、安全保障関連3文書改定の火種に

小泉進次郎防衛相が、核兵器を含む安全保障政策について「あらゆるタブーを設けずに議論すべきだ」と相次いで発言し、非核政策を巡る論争が再び広がっている。政府は非核三原則を堅持する姿勢を示したものの、今後の安全保障戦略の改定過程で見直す可能性があるかについては、明言を避けた。
■小泉進次郎防衛相「タブーなく議論すべきだ」
23日、NHKなどの報道によると、小泉進次郎防衛相は22日(現地時間)、ベルギーで北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長と会談した後、記者団に対し、「欧州や世界で起きていることを、あらゆるタブーを設けずに議論しなければ、どの国も単独で安全保障を確立することはできない」と述べた。
小泉進次郎防衛相はフランスの核政策を巡る変化にも言及し、核兵器を巡って国際社会で生じている新たな動きについて、国内でも議論する必要があるとの認識を示している。
これに先立ち、小泉進次郎防衛相は19日に公開されたインターネット番組でも、核兵器問題について「国内では議論しにくい課題だが、今や触れないわけにはいかない」と指摘した。そのうえで、「安全保障環境の変化を踏まえ、あらゆる政策をタブーなく議論し、進めなければならない」と強調した。
小泉進次郎防衛相は、核を巡る議論が必要な背景として、中国とロシアの軍事活動も挙げた。「中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内で射撃訓練を行い、英仏海峡付近ではロシアが射撃訓練を実施した」としたうえで、「インド太平洋と欧州・大西洋の安全保障は不可分の関係にあることを再確認した」と語った。
■政府「非核三原則を堅持」、見直しの可能性には含み
政府は、小泉進次郎防衛相の発言が直ちに独自の核武装や非核政策の変更を意味するものではないとして、火消しを図っている。
木原稔官房長官は23日の記者会見で、小泉進次郎防衛相の発言について「国民の生命と平和な暮らしを守るため、どのような防衛政策が必要なのかを十分に説明し、議論する必要があるという趣旨だ」と説明した。
木原稔官房長官は、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則について、「政策上の方針として堅持している」と強調した。自国の防衛力を強化すると同時に、米国が提供する「核の傘」を含む拡大抑止の信頼性を高め、安全保障を確保するという従来の立場も改めて確認している。
一方、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の安全保障関連3文書を改定する過程で、非核三原則を見直す可能性があるかとの質問には、「今後、議論を進める事柄であり、現時点で予断を持って答えることは差し控えたい」と述べるにとどめた。
昨年12月にも、政府高官が「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言し、波紋が広がった。この政府高官は当時、中国と北朝鮮による核戦力の増強やロシアの核による威嚇を挙げ、独自の抑止力を強化する必要があると主張している。
ただ、政治的な負担が大きく、国民的な議論も十分に成熟していないとして、高市内閣が核政策を変更するのは難しいとも認めた。現段階では、米国の「核の傘」を基盤とする拡大抑止の強化が最も現実的な方策だとの説明だった。
発言が明らかになると、立憲民主党、公明党、日本共産党などの野党は、この政府高官の更迭を要求した。与党・自民党内からも、政府関係者が個人的な核保有論を軽率に持ち出すべきではないとの批判が相次いだ。
一方、河野太郎元防衛相は「核兵器を保有するメリットとデメリットを議論し、結論を出せばよい」と述べ、核問題そのものをタブー視すべきではないとの考えを示している。
■中国「日本の新型軍国主義」、被爆者団体も反発
中国政府は、小泉進次郎防衛相の発言に直ちに反発した。
中国外務省の林剣副報道局長は21日、「現職の防衛当局責任者がこのような発言をしたことは、日本の戦後史上、極めて異例であり、挑発的かつ危険だ」と批判している。
林剣副報道局長は、高市政権が非核三原則を崩し、「再軍事化」の動きを加速させているとも主張した。さらに、国際社会は日本の「新型軍国主義」に断固として立ち向かわなければならないと訴えた。
中国側の反発からは、核を巡る議論が単なる国内政策上の論争にとどまらず、日米同盟の核抑止力強化や東アジアの軍備競争につながる可能性への警戒感がうかがえる。
政府は、中国と北朝鮮の核戦力増強を防衛力強化の根拠としている。一方、中国側は日本の防衛力拡大や長距離打撃能力の保有を「軍国主義の復活」と位置付けており、双方が相手の軍事力増強を理由に自国の軍備をさらに拡大する安全保障上のジレンマが深まっている。
国内でも反発が強まった。
NHKによると、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳代表委員は「核を前提とする発言は論外だ」と述べ、「核被害を十分に理解しないまま、軽率な発言をしてはならない」と批判した。
日本被団協の濱住治郎事務局長も「被爆者が経験した苦しみや、今もなお存在する核被害者を顧みず、核を前提とした議論を進めることに恐怖を感じる」と懸念を示している。















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