「イランより怖いのは中間選挙だった?」...残り100日、トランプが“13日連続の空爆を止めた”ワケとは

ドナルド・トランプ米大統領がイランへの空爆を突然中止し、その背景に注目が集まっている。
表向きには、イランとの交渉の可能性を残すための決定とされている。しかし、米軍の防空ミサイルの在庫不足に加え、26日(現地時間)で投票日まで100日となる11月3日の中間選挙をめぐる政治的負担が複合的に作用したとの分析が出ている。
戦争の長期化が米国経済や世論に悪影響を及ぼせば、共和党の中間選挙戦略にも打撃が避けられない。そのため、トランプ大統領は軍事的圧力と外交的解決の間で難しいかじ取りを迫られているとみられる。
レームダックか再浮上か…残り100日の勝負
トランプ大統領は1月6日に開かれた下院共和党議員の研修会で演説し、中間選挙での必勝を誓った。
その際、「われわれが勝てなければ、民主党は私を弾劾する理由を探すだろう。私は弾劾訴追されることになる」と述べた。
実際、議会の勢力図がどのように組み替えられるかによって、トランプ大統領は残りの任期中に政策を推進するさらなる原動力を得る可能性もあれば、急速にレームダック化する可能性もある。
現在、共和党は上下両院でわずかな差ながら多数党の地位を維持している。しかし、選挙情勢は上下院で異なる。
選挙専門サイト「ディシジョン・デスクHQ」の分析によると、下院では民主党が勝利する確率が60%と優勢である一方、上院では共和党の勝利確率が60%となっている。
予想議席数では、下院は民主党225議席、共和党210議席と見込まれている。
現在の情勢がそのまま固まれば、民主党と共和党が上下両院の多数党を分け合い、権力の均衡が保たれる可能性がある。ただ、投票日まではまだ時間があり、最終結果を断定するのは難しいとの見方が多い。
選挙戦終盤になるほど両党の支持層が結集する傾向があるうえ、情勢を大きく動かしかねない変数も少なくないためだ。
こうしたなか、民主党は物価高やエネルギー価格の上昇など、イラン戦争の長期化に伴う経済的負担を「トランプ責任論」へと結び付け、選挙戦を展開している。
民主党は「アフォーダビリティー」、すなわち適正な価格で商品やサービスを購入できる生活余力を、中間選挙の事実上の主要スローガンに掲げている。
トランプ政権による強硬な不法移民の取り締まりや、国内治安維持を名目とした軍の動員、性的少数者への抑圧なども、民主党の主な攻撃材料となっている。
一方、トランプ大統領は減税や対米投資の拡大、国境警備での成果を前面に出し、支持層の結集に力を入れている。
民主党内で勢力を伸ばしている急進左派の「民主社会主義」陣営を「共産主義」と位置付け、冷戦時代の反共キャンペーンを再び持ち出している。
また、民主党がこれまで不正選挙を行ってきたとの陰謀論を広めながら、投票時の有権者の本人確認を強化する「セーブ・アメリカ法案」の成立を求めている。
イラン空爆のボタンではなく交渉カードを選択
中間選挙の行方について、専門家らは、イラン戦争が終結し国際原油価格が安定すれば共和党に有利に働く可能性があると分析している。
一方、戦争の拡大によって原油価格や物価が再び不安定になれば、中間選挙を控えたトランプ政権にとって大きな政治的負担になる可能性がある。
こうした状況で、トランプ大統領はひとまず交渉に軸足を置く姿勢を示した。
米ニュースサイト「アクシオス」が25日に報じたところによると、トランプ大統領は24日、米軍から対イラン空爆計画の報告を受けたものの、承認せず、攻撃を中止するよう指示した。
これにより、13日連続で続いていた米軍の空爆は、この日初めて停止した。
トランプ大統領は直近2週間、軍から毎日提出される空爆計画の大半を承認し、実際の攻撃も数時間以内に実施されていた。
しかし今回は、空爆ではなく交渉の可能性を強調した。
トランプ大統領は前日、ホワイトハウスで記者団に対し、「イランと真剣な対話を行っている」と述べた。
さらに、この日に開かれたホワイトハウス記者協会(WHCA)の夕食会でも、「イランが現在、交渉の準備ができているとは思わないが、私は喜んで話を聞く用意がある」と語った。
外交的な動きも続いている。
アクシオスによると、トランプ大統領が空爆中止を指示したのは、オマーンの交渉団がホルムズ海峡の再開放問題を協議するためイランに到着してから、わずか数時間後だった。
地域の消息筋は、「交渉は進展を見せており、週末にオマーンとイランの間で合意が成立する可能性がある」と伝えた。
「パトリオットの在庫枯渇」も問題に
空爆中止のもう一つの背景として、米軍が抱える軍事的負担が挙げられている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は25日、トランプ大統領が米軍の防空資産の枯渇に関する報告を受けた後、大規模な空爆計画を見送ったと報じた。
報道によると、ダン・ケイン統合参謀本部議長は前日、「作戦の再開は可能だが、中東地域の防空ミサイルの在庫を危険な水準まで消耗させる恐れがある」と警告した。
特にパトリオット迎撃ミサイルなどの在庫が大幅に減少しているなか、イランによる報復攻撃が続けば、ヨルダン、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)などに駐留する米軍基地の防衛に深刻な負担が生じる可能性があるという。
これに関連し、NYTは4月、イラン戦争の勃発以降、米国がパトリオットミサイル約1,200発などを消費し、兵器の在庫が懸念されるほど低い水準に落ち込んだと報じていた。
パトリオットミサイルは1発当たり400万ドル(約6億5,400万円)を超える。
トランプ政権内部でも、戦争拡大に懐疑的な意見が強まっていると伝えられている。
ある政府高官は、「大規模な空爆によってイランを交渉の席に引き出せる可能性は高くない。むしろイラン国内の結束を強める逆効果を招く恐れがある」と懸念を示した。




















コメント0