
過酷なレースを終え、ぐっすり眠っていた午前2時に、突然訪れた検査官に起こされた。採血を受け、尿も提出した。すっかり目が覚め、コンディションに影響が出るのは避けられなかった。
世界最高峰のロードレース、ツール・ド・フランスの優勝候補、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が19日(現地時間)に経験した出来事だ。突然のドーピング検査で睡眠不足を訴えていたヴィンゲゴーは、同日のレース中に落車し、鎖骨を骨折した。結局、大会を途中棄権した。
前回王者で、ヴィンゲゴーのライバルでもあるタデイ・ポガチャル(スロベニア)も、同日午前5時に検査官の訪問を受けた。ポガチャルも「大きなショックを受けた」と語った。
26日の最終ステージを控え、総合順位争いが佳境を迎える中、ツール・ド・フランスで早朝のドーピング検査が物議を醸している。
国際検査機関(ITA)が、通常の検査時間帯(午前6時~午後11時)を外れた未明に「抜き打ち」で検査を行ったためだ。出場選手からは「非人道的な措置だ」と反発の声が上がっている。

ブエルタ・ア・エスパーニャやジロ・デ・イタリアを含む3大グランツールで初めて負傷によりリタイアしたヴィンゲゴーは22日、「検査のせいにしたくはない」としながらも、「悪影響を受けたのは確かだ」と語った。
ポガチャルも「ヴィンゲゴーは睡眠を妨げられて集中力が低下し、それが落車につながった可能性がある」と指摘した。
他の選手からも怒りの声が上がっている。ベルギーのスター選手、レムコ・エヴェネプールは「正直、こちらからも人を送り、検査官を午前3時にたたき起こして採血してやりたいくらいだ」と語った。
プロサイクリスト協会(CPA)は21日、「ドーピング撲滅という目的は支持するが、むやみに検査回数を増やすのではなく、科学技術や検査手法を発展させる方向にシステムを変えるべきだ」との声明を発表した。
一方、ITAと国際自転車競技連合(UCI)は、「適切な検査を行うための正当な業務だ」として、問題はないとの立場を示している。
こうした中、ITAがフランスの裁判所から特別許可を得てまで、未明に検査を行った背景に注目が集まっている。規定では、「重大な疑いがある場合」や「証拠が失われる恐れがある場合」に例外的な検査を行えるためだ。裁判所が具体的にどのような事実を根拠に許可を出したのかは明らかになっていない。
欧州の自転車競技専門メディアによると、ヴィンゲゴーとポガチャルのほか、マテイ・モホリッチ(スロベニア)ら一部の選手も未明の検査を受けたという。
一方、フランスの若手有望株ポール・セクサスは検査対象から外れ、「優遇」疑惑が浮上している。モホリッチは「全員に同じ規則が適用されるべきだ。それなのに、フランス人選手のセクサスがこのような検査を受けていないことは、誰もが知っている」と語った。















コメント0