
イラン紛争を契機に、各国政府の再生可能エネルギー(再エネ)への関心はかつてないほど高まっている。しかし、それと同時に中国製技術への依存深化という新たな地政学的リスクが浮上していると、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)が13日(現地時間)報じた。
NYTによると、中国企業は太陽光パネル、超高圧ケーブル、変圧器、バッテリーなど、再エネ電力網を構成するほぼすべてのコンポーネントにおいて、他国の追随を許さない圧倒的な供給能力を誇っている。
特にLFP(リン酸鉄リチウム)電池の分野では、事実上の独占状態にある。LFP電池は、ニッケルやコバルトを主成分とする三元系(NCM)電池に比べ、極めて高いコストパフォーマンスを実現している。エネルギー密度こそやや低いものの、再エネ発電の電力を大規模に蓄える定置用蓄電池(ESS)としての適性は高く、普及の原動力となっている。
この市場をリードするのは、EV販売台数でテスラを上回るBYDと、世界最大のバッテリーメーカーであるCATLだ。CATLは、欧州での家庭用需要の爆発的増加に加え、アジアでの電力網用需要が急増していることを明らかにした。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の報告によると、電力網用蓄電池のグローバル出荷量は今年第4四半期に前年同期比でほぼ倍増している。
専門家らは、イラン紛争後の世界においても、このエネルギー構造の転換は不可逆的に続くと分析する。これを受け、Sungrow(陽光電源)や電力設備の思源電気、パワーコンディショナ(PCS)大手の徳業(Deye)といった中国企業は、供給網を世界規模に拡充するため、香港市場を経由した資金調達を加速させている。CATLも、2025年5月の香港での大規模IPOを通じた資金調達など、紛争以前から戦略的な生産能力拡張に乗り出していた。
また、これら中国企業の海外進出は加速の一途をたどっている。Sungrowは2億3,000万ユーロ(約380億円)を投じて欧州初となるポーランド工場を計画し、Hithium(海辰儲能)はスペイン北部に4億ユーロ(約660億円)規模のバッテリー工場建設を推進中だ。さらに、ハードウェアに留まらず、電力網を最適化するエネルギーマネジメントシステム(EMS)といったソフトウェア分野でも影響力を急速に拡大している。
こうした競争力は、長年にわたる中国政府の巨額の補助金と、外資の参入を抑制することで自国企業を育成してきた産業政策の賜物だ。中国のコンサルティング会社、トリビアム・チャイナのコリー・コムズ氏は、「イラン紛争は、各国の再エネ投資を劇的に加速させる触媒となった。しかし、構築されたサプライチェーンにおいて、現状で中国と対等に競争することは極めて困難だ」と指摘している。













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