戦争にうんざりしたトランプ大統領、終戦合意を急いだものの…強硬派・イスラエル・イランから逆風

イランとの早期の終戦合意に踏み切ったドナルド・トランプ米大統領が四面楚歌に陥っている。米国内の対イラン強硬派や政敵だけでなく、戦争のパートナーであるイスラエル、さらには交渉で利益を得たイランまでが、そろってトランプ大統領を苦境に追い込んでいる。
平和大統領?
トランプ大統領は、主要7カ国(G7)首脳会議への出席のため訪れていたフランスから帰国するとすぐに、訪問先で署名した終戦了解覚書(MOU)の正当性と、交渉が不可避だったことを訴える世論戦に乗り出した。18日(現地時間)未明から、自身のソーシャルネットワーク(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に相次いで投稿を行った。自らを批判する国内の強硬派や反対勢力を逆に攻撃し、合意を揺さぶろうとするイスラエルもけん制した。一方で、終戦合意後に原油価格が急落し、株価が急騰したことを繰り返し強調した。
トランプ大統領は、戦争に対する幻滅と限界を感じている様子を色濃くにじませた。前日のG7首脳会議後の記者会見で、イランの小学校への誤爆について説明するなか、「戦争はひどい(nasty)ものだ」と吐露した同氏は、この日、トゥルース・ソーシャルに「米国は平和に尽力している」と投稿した。同日に公開された米オンラインメディアのアクシオスとのインタビューでは、「爆弾が投下されれば、あそこ(ホルムズ海峡)は自動的に封鎖される」としたうえで、「そのような事態は世界的なパニックを引き起こしかねない」と主張した。
戦争懐疑派として知られるJ・D・ヴァンス米副大統領は、2月末の開戦前後にはホワイトハウス内の議論から疎外されることが少なくなかった。しかし、4月8日の停戦合意後に対イラン交渉を担当することになり、その頃から交渉路線へと傾いていたトランプ大統領と事実上、運命を共にすることになった。この日も同氏はトランプ大統領を擁護した。ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領を批判する勢力に対し、「イランが合意を履行しなければ、われわれはあらゆる手段を講じる」と述べ、大統領を信頼するよう求めた。
内紛

こうした積極的な反撃の背景には、MOU締結後、国内外を問わずトランプ大統領に不利な情勢が広がっていることがある。野党・民主党はもちろん、与党・共和党内でも反発は少なくない。代表的なのが対イラン強硬派だ。ロジャー・ウィッカー上院軍事委員長(共和党・ミシシッピ州)は同日の声明で、「イラン復興のために拠出される3,000億ドル(約48兆2,700億円)は米国民の税金によるものではないとしても、バラク・オバマ政権が2015年のイラン核合意で提供しようとした見返りが少額に見えるほどだ」と批判した。
トランプ大統領に反旗を翻したことで共和党予備選で上院議員候補の座を失った現職議員らも批判に加わった。ビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)は、「(元大統領のロナルド・)レーガンが墓の中で身をよじっている。ここ数十年で最悪の外交政策上の失策だ」と語った。共和党の伝統的な保守路線をトランプ大統領が根本から揺るがしているという意味だ。ジョン・コーニン上院議員(テキサス州)も、「イランのウラン濃縮やホルムズ海峡の通航料徴収を阻止できないまま、代理勢力を支援するための莫大な資金を与える合意だ」と批判した。
これらの動きの背後には、対イランMOUの推進過程で停戦中も交戦を止めず、トランプ大統領との関係がぎくしゃくしたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がいる。ネタニヤフ首相は、米国の保守系メディアやイスラエルに友好的な上院議員らを活用する手法でトランプ大統領に圧力をかけ、最終合意案に影響力を行使しようとしていると、CNNは報じた。

トランプ大統領の焦りを利用し、イランは石油輸出の再開と凍結資産の解除という見返りを確保した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、韓国に凍結されていた後にカタールへ移されたイランの石油代金60億ドル(約9,654億円)の凍結が解除される予定だと報じた。しかし、トランプ大統領を悩ませているという点では、イランも同様だ。イランの最高指導者アヤトラ・セイエド・モジタバ・ハーメネイー師はこの日、国民向けの書面メッセージで、「MOUを条件付きで承認したものであり、今後の交渉過程で米国の無理な要求を決して受け入れない」との立場を示した。
さらに、もともと時間的余裕のない後続協議の日程も長引く見通しとなった。ヴァンス副大統領はこの日の会見で、「60日間の交渉期間が今日始まった」と述べた。この日から数えると8月16日までとなる。ヴァンス副大統領は19日に予定されていた非核化協議を主導するため、スイスを訪問する計画だった。しかし、ホワイトハウスは同日の声明で、訪問が延期されたと発表した。













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