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「交渉より報復」習近平が仕掛ける「静かな反撃」に、トランプ政権が焦りのチップ規制

望月博樹 アクセス  

中国、レアアース・米国債など強硬策

米農産物関税引き上げなど6大措置も

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません

ドナルド・トランプ米大統領は、政権1期目とは異なり、中国が米国の関税に正面から対抗する姿勢を見せる中、15日(現地時間)、エヌビディアのH20チップの対中輸出制限という切り札を切った。H20はエヌビディアの最高スペック製品ではないが、中国に輸出されるエヌビディアのAIチップの中では最高性能に当たる。中国が報復関税に続き、レアアース輸出制限、フェンタニル協力中断など非関税措置まで総動員して譲歩の兆しを見せない中、トランプ大統領が強硬策を打ち出すなど焦りを見せているとの見方が出ている。関税戦争が技術戦争にまで拡大し、米国産業の被害はさらに拡大している。

エヌビディアは9日、米政府からH20チップの対中輸出に当局の許可が必要との通知を受けたと発表した。この規制は無期限に適用され、H20チップが中国のスーパーコンピューターに使用される可能性への懸念が米政府の新規制の根拠だとエヌビディアは説明した。事実上、中国のAI開発自体を阻止する狙いだ。しかし、既存の輸出規制に加えH20の輸出も制限され、米企業エヌビディアも多大な損失は避けられない。エヌビディアは今回の輸出制限措置により2025年度第1四半期(2~4月)に55億ドル(約7,823億円)の損失が発生すると予想している。

トランプ大統領がこうした強硬策を打ち出し焦りを見せるのは、中国が予想外に余裕のある姿勢を示し、交渉よりも米国の対中関税に正面から対抗し続けているためだとの分析がある。トランプ大統領は米国株式市場が暴落した際も「大丈夫だ」と余裕を見せていたが、中国が対米関税率引き上げ(125%)やレアアース輸出禁止、ボーイング機の購入中止に加え、米国債売却の動きまで見せると、追い詰められた様子を見せている。米国産業への打撃が現実のものとなっているためだ。特に中国が対米報復の6大措置(農産物関税引き上げ・家禽肉輸入中止・フェンタニル協力中断・サービス業協力中断・知的財産権調査・映画輸入の縮小または全面禁止)を段階的に実施する中、実際に米国産業が相当な打撃を受けているようだ。

トランプ大統領はこの日、自身のSNSで政権1期目に中国と行った関税戦争に言及し、「私は中国と素晴らしい交渉をまとめ、280億ドル(約3兆9,939億円)の資金を農民に補償したが、この交渉のほとんどは(中国が)破棄した」と述べ、「米国は我々の農民を守る」と明言した。中国が米国産農産物に課した報復関税(10~15%)措置で苦境に立たされている米国農民への支援策を設けることを示唆したのだ。

トランプ政権内では、中国への圧力を強めるため、米国株式市場に上場している中国企業を上場廃止にする案が議論されていると、オンライン政治メディア「ポリティコ」がこの日伝えた。スコット・ベッセント米財務長官も9日、フォックスビジネスとのインタビューで中国企業の米国株式市場上場廃止の可能性について「すべての選択肢がテーブルの上にある」と述べ、可能性を否定しなかった。米議会の超党派諮問機関である米中経済・安全保障調査委員会(USCC)によれば、3月7日時点で米国株式市場に286の中国企業が上場しており、その総時価総額は1兆1,000億ドル(約156兆8,541億円)に達している。中国に大きな打撃を与えられる一方で、米国市場も少なからぬ影響を受けるとの懸念が大きい。

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