
停滞する停戦協議の一方で、前線では攻防が入れ替わる消耗戦が続いている。
最近は、双方の砲火や無人機攻撃が後方の都市部へ向かう傾向が強まっている。厳冬期に住民の不安と孤立感をあおり、相手側の体力を削って主導権を握る狙いがあるとみられる。
前線凍結の可能性も 攻勢を強めるロシア
AFP通信によると、ウクライナ政府は14日(現地時間)、南部ザポリージャ州の村5か所に住む子どもを、法定代理人とともに避難させる方針を決めた。避難の「勧告」ではなく「義務避難」を命じた形で、現地の緊迫度が増していることをうかがわせる。
オレクシー・クレーバ副首相は、義務避難は常に難しい判断だとした上で、砲撃が続く状況では命を守るための唯一で責任ある方法だ、という認識を示した。
英誌エコノミストは、ウクライナ軍が主要戦線の一つであるザポリージャ方面で苦戦していると報じている。ザポリージャ南部では、民間の宅配会社などがロシア側の脅威に耐えきれず、営業を取りやめる例が相次いでいるという。ロシア軍は緩やかながら前進を重ね、支配範囲を広げているとの分析も示された。
ザポリージャは、戦争開始当初からロシアが重視してきた要衝だ。ザポリージャ原子力発電所を誰が、どのように運営するかは、停戦・終戦協議における主要論点の一つとされる。
ロシア軍は同日、スームィ州のコマリウカを占領したとも主張した。
一方、別の戦略拠点であるクピャンスクでは、ウクライナ軍が地域を完全に奪還したとの情報が伝えられている。ウクライナメディアのキーウ・インディペンデントは12日、ある旅団がクピャンスク市議会の建物屋上に国旗を掲げたと報じた。
クピャンスクは、ウクライナ第2の都市ハルキウから南東へ約100キロに位置する。ハルキウとドンバスを結ぶ鉄道・道路の結節点で、侵攻初期から激戦が続いてきた。
米国が推進する停戦案には、合意日時点の兵力配置線をそのまま凍結し、非武装地帯の協議を始める内容が盛り込まれている。仮に戦闘が止まれば、現在の前線が暫定的な国境線になり得るため、停戦が近づくほど前線の交戦が激しくなる可能性もある。
民間インフラ狙うドローン 被害は都市部へ
前線で決定打を欠く中、双方は戦局を動かすため後方の都市を狙い始めている。とりわけロシアは、ウクライナのエネルギー関連施設を集中的に攻撃し、厳冬期の暖房や電力供給を断つ戦術を強めている。
ウクライナ当局によれば、ロシアのドローンは前夜、中部のクルィヴィーイ・リーフにあるエネルギー施設を攻撃し、住民約4万5,000人に供給されていた暖房と電気が止まった。首都キーウでも9日以降、ミサイルを含む攻撃が集中し、住宅地の約70%が停電状態にあるという。
後方の都市部で攻撃が相次ぐにつれ、民間人被害も増えている。ウクライナ当局は前夜、キーウの16階建て集合住宅がロシアのドローン攻撃を受けたと発表した。
一方のロシア側も、ウクライナのドローン攻撃でベルゴロド州で1人が死亡するなど、死傷者が出たとしている。
dpa通信は、ウクライナもロシアに対し攻撃を続けているものの、被害規模はウクライナ側の方がはるかに大きい、との見方を伝えている。














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