
米自動車大手フォード・モーターが、中国の電気自動車(EV)大手、シャオミ(小米科技)との提携案を協議していたと、英フィナンシャル・タイムズが2月1日(現地時間)、複数の関係者の話として報じた。協議は初期段階で、米国でEVを生産するための合弁会社(JV)設立案が検討されていたという。
報道の通り提携が具体化すれば、中国メーカーによる米国市場進出の足がかりになり得るとみられる。フォードは同時に、BYD(比亜迪)など他の中国EVメーカーとも、米国内での提携可能性について意見交換してきたとも伝えられた。
ただ、フォードとシャオミは報道内容をそろって否定した。フォードのマーク・トルービー最高広報責任者(CCO)は、SNSのXへの投稿で、記事は事実ではないと主張している。
シャオミ側も、現時点で米国で製品やサービスを販売しておらず、そのための交渉も行っていないとの立場を示した。BYDはコメントを控えたとされる。
フォードはEV需要の伸び悩みの影響を受け、EV分野で苦戦が続いている。ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は中国製EVに肯定的な発言が多いことで知られ、報道では、米国で販売されていないシャオミのEV「SU7」を個人的に試乗するため車両を米国に持ち込んだことがあるとも言及された。加えて、中国メーカーはいずれ米国へ本格進出するとの見解を過去に示している。
フィナンシャル・タイムズは、トランプ大統領が最近、中国による対米投資を歓迎するかのような姿勢をにじませている点を指摘した。さらに、激しい国内競争に直面する中国の完成車各社が米国市場への関心を強めているとして、中国車の米国進出をめぐる動きは今後も続く可能性があると分析している。
この流れに関連し、ボルボ・カーの親会社である中国・吉利汽車のグローバル広報担当、アッシュ・サートクリフ氏は、最近の自動車専門メディアのインタビューで、米国市場に「いつ」、そして「どの地域」に進出するのかが最大の焦点だとの認識を示した。
一方、米政界の警戒感は根強い。下院の「米中戦略競争特別委員会」のジョン・ムーレナー委員長(共和党)は、仮に提携が事実なら、同盟国・パートナーの立場と相容れず、対中依存を深める結果になりかねないと批判した。
シャオミは2021年、米当局から中国軍との関係が疑われる企業として指定された後、訴訟を経て対象から外れた経緯がある。ただ、共和党指導部の一部では、なお安全保障上の懸念が残るとの指摘が出ている。ムーレナー委員長は1月27日、フォードと中国の電池大手CATL(寧徳時代新能源科技)の関係が拡大している点についても、ファーリーCEOに説明を求める書簡を送ったとされる。CATLは昨年、米国防総省が「中国軍関連企業」として指定した企業の一つだ。
元米政府関係者は、フォードとシャオミの連携が「危険なドミノ効果」を招く恐れがあると懸念を示した。生き残りのために中国企業との連携を受け入れざるを得ないとの空気が広がれば、国家安全保障上のリスクが増すとの見立てである。
また、低価格の中国製EVが米国市場に流入すれば、フォードの事業に打撃になり得るとの見方もある。フォードはEV移行を進める過程で、小型クロスオーバー「エスケープ」など主力の内燃機関車を早期に整理した。一方で、低価格帯の新EVプラットフォームを投入するのは2027年とされており、商品ラインアップに空白が生じる懸念がある。
フォードは昨年末、EV事業の縮小策として、電動ピックアップトラックの開発を停止すると発表した。この見直しには195億ドル(約2兆8,275億円)の費用を見込んでいる。
中国側の専門家からも慎重論が出ている。国際知能型自動車工学協会のチャン・シャン事務総長は、中国メーカーが米国市場に挑む場合、政治・政策の不安定さ、工場建設に要する期間、規制の違いなど、多方面のリスクが伴うと指摘した。その上で、米国は障壁の少ない開かれた環境を整え、中国の投資家にも公正で平等な競争の場を提供すべきだと主張している。
















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