
内閣府が若年層と大企業を中心に賃金上昇の動きを確認した一方、中高年層や中小企業との格差が広がっているとの分析を日本経済新聞が11日に伝えた。
内閣府は10日に公表した日本経済報告(いわゆるミニ経済白書)で、持続的な賃上げの実現には、労働者の能力開発と企業間のM&A(合併・買収)を通じた生産性向上が重要になると指摘した。
報告書によると、少子化に伴う人手不足が続く中、人材確保を目的に20~30代の若年層では賃金がおおむね上昇している。一方、40~50代の中高年層では伸びが鈍化しており、上昇分が高所得層に偏る傾向もみられるという。とりわけ雇用の約70%を占める中小企業では、賃上げ余力の差に応じて企業間の二極化が進んでいると分析した。
内閣府は、国内総生産(GDP)の約半分を占める個人消費を押し上げるには、賃上げの流れを経済全体に波及させる必要があると強調した。その具体策として、労働者のスキル向上とM&Aを通じた構造的な生産性改善を挙げている。
日本の労働生産性は、労働者の能力水準に比べて低い状況にある。経済協力開発機構(OECD)の成人スキル調査ではフィンランドに次いで世界2位となったものの、時間当たり生産性は主要7か国(G7)の中で最下位にとどまる。報告書は、こうした「能力と生産性の乖離」の一因として、リスキリング(学び直し)に対する企業と労働者の認識のずれを挙げた。
企業側は長期雇用を前提に組織内での協働能力を重視する傾向が強いのに対し、労働者は語学やITなど外部市場でも通用する専門スキルの習得を求める傾向がある。企業が求める能力と労働者の希望に隔たりがあれば、生産性向上には結びつきにくいとして、両者の緊密な意思疎通が欠かせないと提言した。
M&Aが生産性に与える効果についても検証した。2010~2022年度のデータを分析した結果、非製造業では合併を通じて営業利益率、労働生産性、総資産利益率(ROA)がそろって改善した。一方、製造業では工場の統廃合などの影響が表れるまで一定の時間を要する傾向があるという。
政府はこれまで、中小企業の賃上げを後押しするため、原材料費などの上昇分を販売価格に反映する「価格転嫁」を促してきた。ただ、物価上昇のペースに賃金の伸びが追いついていないのが実情だ。
内閣府は、官民が連携して買収対象企業の価値評価基準を整備し、統合プロセスに関する知見を共有することで、M&Aを通じた企業体質の強化と賃上げの好循環を築くべきだと強調している、と日本経済新聞は報じた。
















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