イランのホルムズ海峡封鎖と中国のレアアース統制

米国と世界経済のボトルネックを突く対抗策
グリーンランド掌握の示唆に欧州も新たな戦略的要衝を模索

引用:グーグルマップ
引用:グーグルマップ

アメリカの強大な経済力と軍事力を思うがままに振るってきたドナルド・トランプ米大統領の戦略に効果的に対応する方法が、世界経済を脅かす「チョークポイント(要衝)」を攻略することだとイランと中国が証明していると、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)が2日(現地時間)に報じた。

トランプ大統領は、過去の米国指導者が力の行使を抑制してきたことを愚かだと批判し、積極的に力を行使する攻撃的な行動には利点しかないと主張してきた。

しかし、トランプ大統領の戦略の欠点が鮮明になっている。多くの国がトランプ大統領の要求を受け入れる中、イランと中国は有効な対抗策を見いだした。

それはチョークポイントを脅かしながらアメリカと世界経済に圧力をかける方法である。

ホルムズ海峡はその代表的事例に位置づけられる。世界経済に占める割合が1%未満のイランが世界の石油・ガスの5分の1を輸送する航路を掌握している。

アメリカとイスラエルがイランを攻撃すると海峡が封鎖され、燃料・肥料・その他の物資の輸送が止まり、原油価格が急騰し、アメリカの農民と製造業者の間に不安が広がっている。

トランプ大統領、力の行使を自制した前大統領たちは愚かだと主張

1年前、トランプ大統領が「解放の日」とし、全世界各国に関税を課した後、欧州連合(EU)のような強大な経済圏を含む多くの政府がアメリカの要求に従ったが、中国は例外だった。

中国政府はレアアース鉱物と磁石の輸出に対する許可制度を導入し、世界の製造業システムに対する制御力を確保した。

トランプ大統領が復活させたいアメリカ製造業の根幹である自動車・半導体・戦闘機など多くの産業が中国のレアアースに依存している。

中国は特に米軍需企業と取引する企業へのレアアース輸出を遮断した。

中国とイランの二つの事例はトランプ大統領の戦略の限界を示唆している。

アメリカ経済は世界経済と密接に結びついているため、その関係性を突いた攻撃によって打撃を与えれば、アメリカを屈服させ得るということだ。

「チョークポイント アメリカが仕掛ける世界経済戦争の内幕(Chokepoints: American Power in the Age of Economic Warfare)」の著者エドワード・フィッシュマン氏は、昨年、中国によるレアアース統制がトランプ大統領に影響を与えた事例は世界的に注視されており、トランプ大統領が1月にグリーンランド占領を示唆した際、欧州当局者も米国貿易の弱点を探っていたと指摘した。

フィッシュマン氏は、欧州が中国の対応から「米国の圧力に対処するには反撃が有効だという教訓を得た」とし、「イランがそれを改めて示している」と述べた。

中国、トランプ大統領再選前からレアアース支配を計画

中国はトランプ大統領が再選する前からレアアース制御体系の設計を始めていた。

トランプ大統領の戦略が新しいものでないことを知っているからだ。アメリカは敵対国を制裁するため、世界の金融システムに対する影響力を活用し、中国への先端AI技術の流入を遮断しようとするなど、供給網を戦略的に活用してきた長い歴史がある。

ただし、トランプ大統領は関税から軍事攻撃まで攻撃的戦略を大幅に強化した点が際立つ。

トランプ大統領の基本原則はアメリカが力を最大限に活用すべきだということだ。

彼は世界最大の消費市場としてアメリカが他国に不利な条件で貿易を強制でき、世界最強の軍事力でベネズエラからイランに至るまで国家首脳を排除できると主張する。

トランプ大統領はそうした行動が国際同盟・法・慣行に違反するというあらゆる批判を一蹴し、世界を純粋な力の観点から見ようとする。

中国とイランはトランプ大統領の原則を十分に理解し、経済的な打撃を与える手法で対応してきた。

ホルムズ海峡封鎖でアメリカ経済活動が鈍化

イランのホルムズ海峡封鎖がトランプ大統領の軍事攻撃を止めさせるかどうかはまだ見守る必要がある。しかし、海峡封鎖によるアメリカと世界経済の混乱がトランプ大統領に戦争の早期終結を促している。

トランプ大統領は1日の国民向け演説で、米国はこの海峡を通じて「ほとんど石油を受け取っていない」とし、利用している国々こそが石油輸送の保護に主導的な役割を果たすべきだと主張した。

実際、アメリカは欧州・アジア・アフリカなどよりホルムズ海峡封鎖の経済的影響を受けにくい。

しかし、原油価格が急騰し、中東産の肥料・アルミニウム・ヘリウムなどの重要原材料の供給が滞り、アメリカも物価上昇と経済活動の鈍化に直面している。

高騰した燃料費が生鮮食品の価格を押し上げており、海上運賃の上昇でアメリカの物資輸入コストも増加している。

エバーコアISIのアナリストたちは、1日に戦争による原油価格急騰を理由に今年のアメリカ経済成長率予想を2.8%から2.2%に下方修正し、コア物価上昇率が0.2%ポイント上昇すると予測した。

中間選挙を前に共和党に問題を突きつけている。

アメリカの製造業者たちは中国政府を刺激しないよう中国のレアアース規制について公然と言及することを控えてきた。しかし、多くの業種がレアアース供給不足を内心大いに懸念している。

ジーナ・レイモンド前商務長官はレアアース以外にもアメリカが注意すべき事案が多いとし、中国依存度が高い人工知能データセンターを例に挙げた。

荒巻俊
荒巻俊

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