
先週末、イラン国内で行方不明となっていた米軍兵士1人が救出された。この事案を巡り、専門家からはトランプ大統領が十分な準備を欠いたまま戦端を開いたとする批判の声が上がっている。
中東情勢に詳しいある専門家は6日、メディアの取材に対し、現在のイランにおける米軍の苦境について次のように指摘した。この専門家は「通常、米国の戦略は大規模な空爆で固定施設を無力化させた後、地上軍を投入して脅威を排除する。しかし今回は地上軍の準備が整っていないため、航空作戦に依存した不安定な運用を続けている」と分析した。
さらに同氏は「米軍は既に1万以上の標的を破壊しており、攻撃対象が枯渇した状態で軍事作戦を続行している。イランへの圧力を維持する必要があるため、A10攻撃機やAH64アパッチ攻撃ヘリによる低空からの近接航空支援を展開せざるを得ない状況だ」と付け加えた。
ヘリコプターや攻撃機による低速・低空飛行は、いかに優れた航空戦力を有していても撃墜リスクを飛躍的に高めるため、本来は異例かつ危険な運用とされる。米軍がこうした作戦を強行しているのは、地上軍の派遣計画が具体化していないためだとの見方を示した。
軍事専門家らは「2003年のイラク戦争やアフガン戦争では、それぞれ10万人規模の地上軍を投入して敵の防空網を完全に制圧したが、現在はその態勢にない」と指摘する。その上で「イランの影響力が減退したのは事実だが、米軍機が撃墜されたのは、従来のドクトリンを逸脱した空軍力頼みの無理な作戦を展開した結果であり、米側の戦略的な誤算と分析するのが妥当だ」と強調した。
トランプ大統領は、敵地から米兵を救出した作戦の成果を強調したが、世論の反応は冷ややかだ。イランとの戦争開始後、米軍機が撃墜されたのは今回が初めてであり、これまで米国が主張してきた「完全な制空権掌握」が虚構であったことが露呈したためである。
CNNは「トランプ政権が喧伝してきたイラン上空の制空権確保や、米軍の『難攻不落』というイメージが揺らいでいる」と報じた。トランプ氏はこれまで「イランにはもはや海軍も空軍も対空防御システムも存在しない」と主張してきた。しかしイラン側は、F15E戦闘機を撃墜した同日、南部ゲシュム島近海でもA10攻撃機を撃墜し、依然として対空能力を保持していることを誇示した。さらに、米軍の最新鋭ドローン3機も撃墜したと主張している。
行方不明兵士の存在は、トランプ氏の戦争シナリオにとって大きな足かせとなる可能性があった。仮に兵士が生存したまま拘束されていれば、イラン側にとって終戦交渉の強力なカードとなったことは明白だからだ。また、米国内で根強い反戦世論に火をつけ、トランプ氏の政治的選択肢を狭めるリスクもあった。今回の救出劇は、一兵士の命だけでなく、トランプ氏の政治的立場をも下支えしたと評価されている。
トランプ氏は、イランに対する交渉期限を再び延長した。開戦以来、期限の延長は3回目となる。先月21日、トランプ氏はイランに対し「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ発電施設を攻撃する」と警告したが、同23日には交渉を名目に5日間の猶予を与えた。その後も期限直前に延長を繰り返し、当初は米東部時間4月6日午後8時(日本時間7日午前9時)としていた最後通告をさらに先送りした。
トランプ氏は5日、SNSのトゥルース・ソーシャルに「米東部時間火曜日(7日)午後8時!」と投稿。これは当初の期限を24時間延長することを意味すると解釈される。同氏はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでも「火曜夜までにイラン指導部が措置を講じなければ、同国の発電所や橋などのインフラはすべて壊滅することになるだろう」と述べ、改めて7日を最終期限として提示した。
















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