
高市早苗総理は、自民党が進めている憲法改正項目のうち、緊急事態条項の新設と合区の解消を中心に議論を急ぎたい考えを示した。
自民党は安倍晋三政権下の2018年、自衛隊の憲法明記、緊急事態条項の新設、合区の解消、生涯教育を含む教育の充実の4点を「憲法改正の4項目」として掲げ、推進してきた。このうち最も中核となる項目とされてきたのが、自衛隊の明記である。
高市総理は憲法記念日の3日、自民党総裁として産経新聞のインタビューに応じ、野党や国民の理解を比較的得やすい2つの改正項目を先行して議論したい考えを示した。段階的に改正を進める狙いがあるとみられる。
高市総理は「4項目に重要性の優劣はないが、現実的に一つずつ議論を進めるとすれば、合区の解消と緊急事態条項が急務だ」と述べたうえで、「全ての項目を同じ速度で進めるべきだという安易な考えは持っていない」と語った。
参議院選挙では、人口の少ない県を一つの選挙区にまとめる「合区」が導入されている。各県の特性や政治的な要望が反映されにくいとの指摘が強まっており、自民党は憲法改正によって合区の解消を進める方針だ。
高市総理は「合区の解消は、特に現実的な課題として急がなければならない。参院選は再来年に迫っている」と述べ、参院選を前に改正案の発議と国民投票に踏み切る考えをにじませた。
そのうえで「憲法改正に前向きな政党や会派を合わせれば、参議院でも議席の3分の2を超える」と述べ、現在の議席配分でも改正案の発議は可能だとの見方を示した。
自民党と日本維新の会による連立与党は、先の衆議院選挙で大勝し、憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を確保している。一方、参議院では過半数に達していない。
高市総理は、憲法改正の国会発議や国民投票の時期について具体的な言及を避けたものの、自民党総裁として「一刻も早く」進めたいとの思いを強く持っていると強調した。
産経新聞は、再来年の参院選前に憲法改正を実現するには、来年の通常国会で改正案の発議と国民投票の実施を目指す公算が大きいと解説している。
高市総理は、緊急事態条項の新設が急務である理由として、いつ発生するか分からない大規模災害やテロに備え、国が迅速に対応する必要性を挙げた。
ただし、緊急事態の発生に伴い衆議院の任期を延長するこの条項が新設されれば、現行憲法が衆議院解散時にその機能を代行すると定めている参議院の役割が縮小しかねないとの懸念があり、自民党所属の参議院議員の間でも慎重論が根強いと産経新聞は指摘した。
一方、いわゆる「平和憲法」の中核とされる9条の改正について、高市総理は自衛隊の明記が重要だと強い口調で訴えたと産経新聞は伝えている。
ただし、高市総理は「自民党と日本維新の会が昨年設置した条文起草協議会で議論を進めているため、自民党総裁としてはそれを見守る必要があり、結論について軽々しく言及することは控えたい」と述べた。
現行憲法9条には、戦争と武力行使の永久放棄、陸海空軍の戦力不保持、交戦権の否認などが盛り込まれている。軍隊を持たないとされているため、自衛隊に関する規定はない。
自民党は「陸海空軍の戦力不保持と交戦権の否認」を明記した2項を維持したうえで、自衛隊の存在と役割を明記する案を推進している。
一方、連立を組む日本維新の会は2項を削除して国防軍を新設すべきだと主張しており、与党内でも意見はまとまっていない。
高市総理は同日、自民党の憲法改正推進派の会合に総裁として寄せたビデオメッセージで「政治家が国民の負託に応えるべき道は、決断のための議論だ」と述べ、憲法改正に向けた政治的決断の必要性を強調したと共同通信が伝えた。
高市総理は「憲法は国の礎であり、時代の要請に応じて定期的に見直しを図るべきだ」と述べたうえで、「自民党は憲法改正に向けて、国民に丁寧に説明を尽くしていく。各党の協力を得ながら、国会での決議に向けた議論を進めたい」と語った。















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