
5歳の子どもの歯を一度に12本抜歯したアルゼンチンの歯科医師に対し、有罪判決が確定した。事件の発生から8年を経ての確定判決となった。
現地メディアが3日(現地時間)に伝えたところによると、アルゼンチン・サンフアン州の最高裁判所は、医師の医療過失を認めて執行猶予1年と資格停止1年を言い渡した高等裁判所の2審判決を支持し、刑を確定させた。
被害を受けた子どもの父親、マルティン・ルセロさんは「家族もつらかったが、最も苦しんだのは幼い息子だった」と語り、「歯がなくてまともに食べられない息子を見ると、胸が張り裂けるような思いだ」と心情を打ち明けた。
事件は2017年、当時5歳だった被害児が高熱を伴う歯の痛みを訴え、サンフアン州のラウソン病院を訪れたことから始まった。病院の救急外来では、膿瘍が見つかったとして、排膿の処置を行ったうえで抗生物質を処方した。
しかし、歯の痛みが治まらなかったため、両親は子どもを別の病院であるアルヘンティーノ病院に入院させ、抗生物質による治療を受けさせた。それでも症状が改善しなかったことから、両親は紹介された歯科医師に相談した。歯科医師は、全身麻酔をかけて歯を抜くのが望ましいと提案した。両親はこの提案を受け入れ、抜歯を決めた。
抜歯のために再び病院を移り、市民病院に入院した子どもは、全身麻酔のうえで抜歯手術を受けた。両親が驚いたのは、手術後の子どもの歯の状態を見たときだった。残っていたのは上の奥歯2本と前歯数本だけだった。歯科医師は、子どもの歯をなんと12本も抜いていたのだ。
両親は「手術の前に、治療の難易度や抜く歯の本数について明確な説明はなく、12本の抜歯に同意した覚えもない」と抗議したが、問題の歯科医師はこれといった反応も示さなかった。
一度に12本の歯を失った子どもは、深刻な精神的ショックと身体的な後遺症に苦しんだ。幼稚園に入った後は、友達から「歯のない怪物」とからかわれ、仲間外れにされることもあったという。なかでも最も深刻だったのは、歯がないために食事をとることが難しかった点だ。父親のルセロさんは「成長期の大事な時期に、子どもが食べられなかった」と振り返り、「成長や発達に重大な後遺症が残る可能性があるとの医師の診断もあった」と明かした。
また、永久歯が生えてくる際にきちんとした位置に収まるよう、矯正治療も受けなければならなかった。両親は、医療過失の罪で歯科医師を告発した。だが、医療過失をめぐる法廷闘争は容易ではなかった。2022年には、州の最高裁判所が訴訟の無効を言い渡し、最初からやり直すことを余儀なくされた。
審理が再開された訴訟の過程で、ついに歯科医師の過失が裏付けられた。問題の歯科医師が抜いた合計12本の歯のうち、6本は虫歯になっており、4本は健康な状態で、実際に抜く必要があった歯はわずか2本にすぎなかったことが、司法による鑑定で明らかになったのだ。
父親のルセロさんは「(事件発生から)8年間、巨大なシステムを相手に戦ってきた。時間や費用など、あらゆる面で大きな犠牲を強いられた厳しい日々だった」と振り返ったうえで、「それでも、家族が望んでいたのはただ一つ、正義が実現されることだった。諦めずに戦い続けた末に、ようやく結果を得られた」と語った。













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