
政府関係者と民間企業で構成される訪問団が、今月末にロシアを訪れる。ロシアによるウクライナ侵攻以降、米欧の対ロ制裁が続く中、同盟国からの批判も覚悟したうえで、ロシアとの経済協力を模索しているとの見方が出ている。
経済産業省は10日、「X」で、今月末にロシア側との意思疎通を図るため、官僚の出張を調整しており、関係企業が同席する可能性もあると明らかにした。これに先立ち、政府が三井物産、商船三井などで構成する経済使節団をロシアに派遣し、経済協力を探るとの報道が出ていたが、同省は経済使節団の構成自体は事実ではないと説明した。その一方で、官僚と企業関係者による訪問計画については認めている。
ロシアとは、北方領土4島を巡って70年以上にわたり対立が続く難しい関係にある。それにもかかわらず訪ロを進める背景については、米国とイランの戦争を受けて深刻なエネルギー危機に直面する中、ロシア産エネルギーの確保に動き出したためだとの分析が出ている。先月には、イランとの水面下の交渉を通じ、タンカーをホルムズ海峡から退避させたこともあった。
政府はこれまで、西側の対ロ制裁に足並みをそろえる明確な立場を維持してきた。ところが最近は、ロシアとの水面下の協力をうかがう動きも相次いでいる。イランによるホルムズ海峡の封鎖が2か月以上続き、原油調達に深刻な支障が生じているためだ。政府内では、ロシア産原油を手放すことはできないとの空気が強まっているとされる。中東情勢の悪化によって国民の理解を得やすい局面になったとの判断もあると伝えられている。
こうした動きの背景には、極東の油・ガス開発事業「サハリン2」がある。1990年代に三井物産と三菱商事が45%を出資したこの事業は、主要な液化天然ガス(LNG)の調達先の一つだった。だが、2006年のロシアによる資源国有化措置で、ロシア国営ガス会社ガスプロムに持ち分の半分を強制的に売却せざるを得なくなった。さらに、ロシアのウクライナ侵攻によって事業からの撤退危機にも直面したものの、エネルギー安全保障の観点から関与を維持してきた。
米国による制裁が広範囲に及んでいた際も、政府は「サハリン2」がエネルギー確保に不可欠だと説明し、制裁対象から外すよう働きかけてきた。最近では、ホルムズ海峡封鎖の影響で備蓄油が減少する中、4日に初めて「サハリン2」を通じて原油を輸入したという。今月のロシア訪問も、「サハリン2」経由の原油調達を増やす狙いが大きいとの見方が出ている。
関係改善を探る動きの背後には、親ロ派議員として知られる自民党の鈴木宗男参議院議員の存在もある。鈴木氏は4日、モスクワでロシア外務次官と会談した後、ロシアは日本との外相会談に応じる用意があるとして、政府がより積極的に動くべきだと訴えた。政府は、同氏が2023年と2024年にロシアを訪れた際には自制を求めていたが、昨年就任した高市早苗首相は鈴木氏を重用しているとされる。














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