
米国・日本・オーストラリア・インドの4カ国による安全保障の協議体「クアッド(QUAD)」の外相会議が、今月下旬にインドのニューデリーで開かれる。今回の会議は、安全保障の枠を超え、経済安全保障や次世代技術の協力の方向性を決定づける分岐点になる見通しだ。中国への依存度が高いレアアース(希土類)などの重要鉱物のサプライチェーンや、先端技術分野での協力が中心的な議題になるとみられる。
毎日新聞などが11日に伝えたところによると、クアッド4カ国は今月末にインドのニューデリーで外相会議を開く方向で、最終的な調整を進めているという。今回の会議が開催されれば、昨年7月に米国のワシントンで開かれて以来、約10カ月ぶりの外相会議となる。
主な議題として取り上げられるのは、重要鉱物資源について中国への依存度を引き下げる方策だ。レアアースやリチウム、コバルトなどの重要鉱物は、半導体や電気自動車、バッテリー、人工知能(AI)、防衛産業に欠かせない素材となっている。とりわけ精製や加工の分野で中国の影響力が大きいことから、クアッドの4カ国はサプライチェーンの多元化を戦略的な課題と位置付けている。
中国は最近、国家情報法や輸出管理法を前面に押し出し、重要資源の海外への持ち出しを制限することで、資源を武器として用いようとする動きを見せた。時事通信は「クアッドは中国への対応を念頭に置き、重要鉱物や先端技術分野での協力を確認するとみられる」と報じた。
日本経済新聞も12日、「日本と米国は、インドの豊富な資源とオーストラリアの採掘技術を組み合わせ、中国を排除する形での新たな『エネルギーサプライチェーンの帯』を構築しようとしている」と分析した。このため、4カ国は重要鉱物の共同備蓄システムの構築や、代替素材の開発に向けた研究開発(R&D)協力を明文化する可能性が高いとの見方も示された。
先端技術分野では、最近、世界の金融システムへの脅威として浮上してきた米AnthropicのAIモデル「Claude Mythos(クロード・ミトス)」への対応が、中心的な議題として取り上げられる見通しだ。産経新聞は「AIが金融網の脆弱性を見つけ出して攻撃するという新たな形態のサイバーテロが観測されている中で、米国が保有する最先端のセキュリティー技術を、クアッドの友好国に対しどの程度まで共有するかが焦点になる」と報じた。
特に日本とオーストラリアは、米国に対し技術管理の緩和を求めるとみられる。インドも、自国のIT人材を活用したグローバルなサイバー防御網の構築に積極的な姿勢を見せている。4カ国は今回の会議を通じて「責任あるAIの利用に関するガイドライン」を制定したうえで、北朝鮮や中国など国家を背後に持つハッキング集団によるAIを使った攻撃に対する共同の防御体制を具体化させるとみられる。

今回の会議における大きな障害となりそうなのは、トランプ政権の保護貿易主義とインドの独自路線との間の対立だ。昨年、米国とインドの間の関税をめぐる対立により、ニューデリーで予定されていたクアッド首脳会議が中止に追い込まれた前例も、そのことを裏付けている。
このため、今回の会議は、首脳レベルの会議の再開に先立ち、4カ国の協力への意欲を改めて確認する性格が強い。米国による関税の圧力と、インドが取る実利重視の外交との間で、中国への牽制という共通の利害をどう引き出していくかが、最大の外交課題となる。
インドは伝統的に、特定の陣営に偏らない非同盟主義の伝統を守ってきており、最近ではロシアや中国との関係でも実利的な姿勢を見せてきた。毎日新聞は「トランプ大統領が『アメリカ・ファースト』を掲げて同盟国に対しても関税の圧力をかけている状況の下で、インドがどれだけ積極的にクアッドに協力していくのかは見通せない」としている。
一方、米国のスコット・ベッセント財務長官は東京を訪れ、12日に高市早苗首相や片山さつき財務相らと会談した。今回の訪日は14〜15日に行われる米中首脳会談を前にした動きで、円安や重要鉱物のサプライチェーン、AIの問題などについて協議するとみられる。













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