
米国がイランとの軍事衝突の過程でイスラエル防衛に乗り出し、先端迎撃ミサイルの在庫を大量に消耗したことで、日本や韓国などアジアの同盟国の安全保障上の懸念が高まっているとの分析が出ている。
ワシントン・ポスト(WP)は21日(現地時間)、複数の米政府関係者の話として、米軍が「エピック・フューリー作戦」期間中に、イランが発射した弾道ミサイルを迎撃するためTHAAD迎撃ミサイルを200発以上発射したと報じた。
これは、米国防総省が保有するTHAAD在庫の約半分に相当する規模である。THAADミサイル1発の価格が約1,270万ドル(約20億2,000万円)に達することを考えると、迎撃ミサイルの運用だけで約3,151億5,000万円台後半の費用が投入されたことになる。
これに加え、米海軍も地中海に配備された艦艇からSM-3とSM-6迎撃ミサイルを100発以上追加で使用したと伝えられている。
一方でイスラエル側は、アローおよびダビデスリングの迎撃ミサイル使用量がそれぞれ100発未満にとどまった。このうち一部は、イエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラなど親イラン勢力が発射した兵器への対応に使用された。
両国の役割分担は、事前に両国間で調整された防衛戦略に基づくものと知られている。米軍のTHAADや艦隊防空システムがイランの高脅威弾道ミサイルへの対応を担い、イスラエルはアイアンドームなどを用いて低高度のドローンや巡航ミサイル防衛に集中する構図だ。
これにより、米国の迎撃ミサイル消耗が大幅に増加し、防衛負担が一方に集中しているとの指摘が出ている。
米国のシンクタンク、スティムソン・センターのケリー・グリエコ上級研究員はWPに対し、「数字そのものが衝撃的だ」とし、「米国が防空負担の大半を担う一方で、イスラエルは自国の高性能迎撃システムの備蓄を温存している」と評価した。
同氏はさらに「現在、米国にはTHAAD迎撃ミサイルが約200発程度しか残っておらず、生産速度も需要に追いついていない」と懸念を示した。
◆ イラン戦で浮き彫りになった米国の防空負担…THAAD在庫減少で同盟国に不安
この状況は日本や韓国にも不安材料となっている。両国は北朝鮮や中国への抑止力を大きく米国に依存しているためである。実際、在韓米軍が運用するTHAADの一部が中東へ移動したとみられる兆候も確認され、安保上の懸念が強まっている。
米議会の調査機関も、長期戦となった場合のミサイル在庫不足の可能性を警告している。3月に公表された議会報告書は「エピック・フューリー作戦期間中のTHAAD迎撃ミサイル使用速度により、限定的な在庫がさらに減少した」とし、「現在の生産体制では、同盟国の防空網支援を継続するのは困難だ」と分析した。
防空能力の低下は、ドナルド・トランプ米大統領の対外戦略や終戦交渉にも負担となっているとの見方がある。
トランプ大統領は、イランの高濃縮ウラン確保を通じて核兵器開発能力を阻止するという立場を維持しているが、軍事資産の消耗が大きくなった状況で追加衝突を続けるには制約が伴うという見方がある。
一部ではトランプ政権が打ち出した「アメリカ・ファースト」の基調と実際の作戦遂行の間にギャップが明らかになったとの批判も出ている。
米シンクタンクのケイトー研究所で国防・外交政策の責任者を務めるジャスティン・ローガン氏は「イスラエルが自国防衛資産を節約する戦略は理解できる」としつつも、「米国が大規模な在庫負担を引き受ける構造をアメリカ・ファーストで説明するのは容易ではない」と指摘した。















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