「軍事大国が、小国を屈服させられない時代になった」ウクライナとイランが示した持久戦の現実

ウクライナとイランに共通する「軍事大国への持久戦」

引用:アラブニュース
引用:アラブニュース

4年以上続くウクライナ戦争と今年2月末に始まったイラン戦争は、圧倒的な軍事力を持つロシアと米国がウクライナとイランを屈服させられていないという点で共通していると米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は26日(現地時間)に報じた。

ウラジーミル・プーチン露大統領は4年前に特別軍事作戦を開始した際、短期間での勝利を見込んでいたとされる。一方、ドナルド・トランプ米大統領も2月28日に始まった対イラン軍事作戦について、4〜5週間で終結するとの見通しを示していた。

フランス政治学院のニコル・グラチェフスキー教授は「ロシアも米国も過信によって、軍事作戦の目標を達成できていない」と指摘した。

NYTはイラン戦争とウクライナ戦争が現代戦の進化を示す重要な教訓を残していると評価した。

非対称戦術が戦場を変える

ウクライナとイランの双方は非対称戦術を駆使し、軍事力が圧倒的な強国に対抗している。

イランは同盟国を標的にする形で米国に圧力をかけている。クウェートやサウジアラビアの軍事基地、エネルギー施設を自爆型無人機で攻撃し、湾岸諸国に恐怖を与えた。また、機雷や小型武装高速艇による脅威を背景にホルムズ海峡への影響力を維持している。

ウクライナもロシア経済を支える石油関連施設を継続的に攻撃しているほか、海上ドローンを活用してロシアの黒海艦隊に大きな打撃を与えてきた。

専門家らは、ウクライナとイランが技術革新によって戦争の様相を変えつつあると指摘する。

米国は、ウクライナが開発したAI搭載の無人機探知システムを、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地防衛に投入した。

レバノンでは親イラン武装組織ヒズボラが、ウクライナ戦争で広く使われる光ファイバー誘導型ドローンを用いてイスラエル軍を攻撃している。

米カーネギー国際平和財団のマイケル・コフマン研究員は、ウクライナで実戦投入され、中東地域にも展開されたセンサー、誘導ミサイル、無人機の統合システムやAI技術が「世界的に急速に拡散する可能性が高い」との見方を示した。

さらに、大量の精密打撃能力が低コストで実現可能となり、中堅・新興国でも同様の能力を保有するようになると分析している。

類似した攻撃戦略

ウクライナ戦争で顕著になった、無人機とミサイルを組み合わせた攻撃手法はイラン戦争でも確認されている。

イランは2022年、ロシアにシャヘド攻撃型無人機を供給し、ロシアはこれをウクライナ攻撃に投入した。ロシアはその後、カスピ海経由でイランに無人機部品を供給しているとされる。

また、ロシアとイランがGPS妨害技術を共有している可能性も指摘されている。

最近では、イラン関連船舶がホルムズ海峡で位置情報を偽装しているとみられ、その手法はロシアの「影の船団(シャドーフリート)」が用いてきたものと酷似しているという。

今年3月には、キプロスの英軍基地を標的としたイラン製無人機から、ロシア製の電波妨害対策装置が見つかった。

外交構図にも変化

イラン戦争により、米国と欧州間にも亀裂を生じさせた。

欧州の多くの首脳は、対イラン軍事行動について不必要かつ国際法上問題があるとの認識を示している。

また、世界的な石油供給不安を受け、一部の国ではロシア産石油や天然ガスへの依存が再び強まる可能性もある。

米国の関心が中東に分散したことで、ロシアとウクライナの和平交渉にも遅れが生じている。

ウクライナのダニーロ・ルブキフスキー元外務次官は「トランプ大統領がイランで軍事行動を始めたとき、プーチン大統領は祝杯を挙げていたはずだ」と皮肉った。

一方で、ウクライナが湾岸諸国との新たな連携を築いていることは予想外の展開だ。

先月、ウクライナはカタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)と新たな安全保障協定を締結した。これまで中立姿勢を取ってきた湾岸諸国の方針転換として注目されている。

ウクライナにとっては、産油国への無人機技術輸出を通じ、防衛産業の新たな収益源確保にもつながる可能性がある。

また、米国が昨年以降、ウクライナへの軍事支援を大幅に縮小するなか、欧州が主要な支援基盤となっている。欧州各国は米国製兵器を調達してウクライナへ供与しており、欧州連合(EU)も先月、900億ユーロ(約16兆6,800億円)規模の対ウクライナ支援融資を決定した。

竹内智子
竹内智子

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