
米国全土でAIデータセンターや、それに電力を供給する発電所の建設を巡り、住民の反発が強まっている。こうした中、データインフラは国家安全保障の中核を成すとの主張が出ている。ミッチェル航空宇宙研究所のデイビッド・デプトゥーラ所長(退役米空軍中将)による分析だ。
デプトゥーラ所長は5月28日(現地時間)、ワシントン・ポスト(WP)への寄稿で、データインフラが長距離ミサイル、先進戦闘機、宇宙システム、ミサイル防衛システム、ドローンなど、米国防総省の数多くの兵器システムを有機的に結び付ける上で、決定的な役割を果たすと主張した。
同氏は「データはもはや単なる商業ツールではなく、戦略資産だ」とし、「軍のほとんどの機能が、膨大な量のデータを高速かつ大規模に保存、移動、処理、保護、活用する能力に依存している」と説明した。
実際、直近のイランとの軍事衝突では、複数の情報源から収集したデータを分析し、攻撃目標に関する情報を迅速に提供するAIの能力が示された。米国とイスラエルは、パランティア(Palantir)のAI基盤プラットフォームの支援を受け、紛争初期の数日間で数千か所の標的を攻撃した。
また、米国防総省とAIスタートアップのアンソロピック(Anthropic)の間で生じた利用規約を巡る対立は、米国防総省幹部に、情報処理でAIへの依存度が高まっている現状を改めて認識させる契機となった。
米国防総省のエミル・マイケル研究・工学(R&E)担当次官は3月、ポッドキャスト番組『オールイン(All-In)』に出演し、「次の戦闘でこのソフトウェアが停止したり、ガイドラインや拒否応答が作動したりして、我々の兵士を危険にさらすことになったらと思うと、ぞっとした」と当時を振り返った。
デプトゥーラ所長は、自律型技術の導入が進むウクライナのドローン活用事例にも触れ、将来の戦場におけるAIの重要性を強調した。さらに、戦争初期にイランが中東にあるアマゾンのデータセンターを攻撃したこと自体が、こうしたインフラが国家権力の一部と見なされ得ることを示していると付け加えた。
同氏は「データ保存およびコンピューティング能力の不足は、致命的な結果を招き得る」と警告した。その上で、「将来の戦争の勝敗は、敵よりもどれだけ早く探知し、決定を下し、行動できるかにかかっている。そのためには、膨大な量の情報・偵察、サイバー、軍需、標的選定および作戦データが必要であり、これら全てのデータをAIに学習させるコンピューティング能力が不可欠だ」と指摘した。
一方で、同氏がデータセンターを安全保障上の最優先課題に挙げる中、多くの米国民の反応は冷ややかだ。住民はデータセンター建設計画に強く反発しており、現在では大きな政治的争点となっている。特に有権者が電気料金上昇の原因としてAIデータセンターの電力需要を挙げていることが、インフラ建設に反対する全国的な世論に拍車をかけている。
同時に、データセンターが米国防総省にとって不可欠なインフラだというデプトゥーラ所長の訴えは、関税からホワイトハウスの舞踏会場に至るまで、あらゆるものを安全保障と結び付ける米国のドナルド・トランプ大統領の主張に埋もれる恐れもある。
米国は現在も、データセンター分野で世界首位を維持している。しかし、デプトゥーラ所長は、中国がインフラ構築に向けて産業力を急速に結集し、追い上げていると指摘した。
同氏は「最も優れたデータインフラを持つ国が、次の戦争で決定的な優位を占めることになる」と述べ、「米国にはその地位を譲る余裕はない」と強調した。













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