最高裁で行き詰まったトランプ政権、「強制労働」名目で新関税 正当性に疑問

米国のトランプ政権は、強制労働問題を名目に新たな関税の発動に乗り出した。米連邦最高裁が従来の全世界向け関税を違法と判断した後に用意された代替措置で、法的正当性や対象国の選定基準を巡り、議論が続いている。
3日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など海外メディアによると、トランプ政権は強制労働で生産された商品の取引を禁止・取り締まる法律が不十分だとして、韓国など54か国に12.5%、欧州連合(EU)を含む6か国・地域には10%の新たな関税を課す方針を明らかにした。
今回の措置は、米連邦最高裁が2月、トランプ政権による全世界向け関税を違法と判断した後に打ち出された代替案とみられる。当時、裁判所は米国のドナルド・トランプ大統領が議会の明確な承認を得ず、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に関税を課したことについて、権限を逸脱したものだと判断した。
政策研究機関タックス・ファウンデーションによると、判決直後、米国の平均輸入関税率は14.9%から8.2%に下がった。しかし、トランプ政権は直後に暫定的な10%関税を導入し、現在の平均関税率は11.7%水準まで上昇している。
この暫定関税も米国際貿易裁判所で違法との判断を受けたが、控訴審が続く間は効力が維持され、7月に期限を迎える。新関税の施行時期は公表されていないものの、現在の暫定関税が失効した後に発効する可能性が取り沙汰されている。
NYTは、今回の措置が追加関税の始まりに過ぎない可能性があると分析した。
実際、トランプ政権は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を改定し、自動車に占める米国産部品の比率要件を引き上げる案を検討している。さらに、一部の先発医薬品に最大100%の関税を課す方針も進めている。
強制労働名目にも穴 法的・政治的論争は続く
今回の新関税は、米国通商法301条(Section 301)を根拠としている。外国の貿易慣行が米国の商取引に負担を与えたり、貿易協定に違反していると判断されたりした場合、大統領に関税賦課を認める条項で、第1次トランプ政権下の対中関税にも使われた。ただし、今回のように数十か国を一括して301条の対象にした前例はない。
貿易専門家は、強制労働を根絶しようとする取り組み自体には理解を示しながらも、今回の関税の実際の目的は人権問題の解決ではなく、関税の維持にあるとの批判を提起している。
米外交問題評議会(CFR)の貿易専門家、エドワード・オールデン氏は、今回の措置を「露骨に冷笑的な試み」と評し、「政権が効果的だと信じる関税を維持するための口実に過ぎない」と指摘した。
コーネル大学のエスワー・プラサード教授は、政権が広範な関税の名目を「道徳的に、場合によっては法的にも防御しやすい領域」に移したと分析した。その上で、海外の強制労働問題を強調する政権が、実際には国内の労働者や労働組合に友好的な姿勢を示してこなかった点に矛盾があると苦言を呈した。
関税対象の選定にも穴がある。米国政府が強制労働問題を指摘してきたアフガニスタン、ベラルーシ、ミャンマー、モーリタニアなどは、今回の関税対象から外れた。実際に強制労働を理由に輸入禁止措置が取られたセルビアとモーリシャスもリストに含まれておらず、報告書で強制労働による生産品を輸入していると批判されたミャンマーとマラウイの名前も見当たらない。
一部の貿易分析家は、トランプ政権が民主党や労働組合にとって反対しにくい名目を掲げ、関税政策の政治的な持続可能性を高めようとしたとみている。
貿易専門のライアン・マジェラス弁護士は「新関税率が過去の関税と似ている点は興味深い」と述べた。一方で、「強制労働問題は誰も簡単には反対できない事案であり、そこがこの戦略の巧妙な部分だ」と評価した。
法的論争も残る。世界貿易機関(WTO)のアラン・ウルフ元事務局次長は、301条はもともと単一国を対象に設計された法律だと説明した。数十か国を一度に狙う方式は議会の立法趣旨に合わないため、「司法審査を通過するのは難しいかもしれない」と主張している。一方、マジェラス弁護士は「各国が強制労働を禁じる法律を整備し、それを適切に執行すべきだという主張自体に反論するのは非常に難しいだろう」との見方を示した。
貿易相手国からの反発も続いている。EUは今回の関税について正当性のない措置だと批判し、中国は「強制労働は存在しない」として、関税を政治的操作の口実として使うことに反対すると述べている。














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