中国ブロガーによる「論文捏造」告発で有名大学教授らが次々と失脚

中国で大学教授らによる「論文捏造」などを告発してきたブロガーの告発を受け、天津市の南開大学の学部長をはじめとする有名大学の教授らが、相次いで解任などの懲戒処分を受けた。
このブロガーは自身の安全などを理由に、約1か月で告発活動を中止し、SNSでの活動も制限された。
国営新華社も告発者にインタビューし関心示す
1日付の香港紙・明報などによると、ブロガーのゴン・ジャンタオ氏は「耿同学(学友)」というハンドルネームで、生命科学分野の著名研究者による不正行為をインターネット上で次々と告発した。
ゴン氏は4月、北京航空航天大学の博士研究員課程を中途離脱した後、複数のプラットフォームで「耿の話」アカウントを運営し、このような告発を行ってきた。
明報によると、ゴン氏は5つの有名大学に所属するトップ研究者9人を対象に、国際的権威を持つ科学誌『ネイチャー』およびその系列誌に掲載された論文について、データ改ざんなどの疑惑を提起したという。
先月30日には、天津市の南開大学と広州市の中山大学が、ゴン氏から不正行為者として名指しされた3人に対して懲戒処分を下したと発表した。
同済大学生命科学技術学院の院長(学部長)であるワン・ピン氏、南開大学生命科学学院のチェン・チュエン院長、中山大学がんセンター副所長のジャン・ティエファン氏、中山大学生命科学学院副院長のグアン・ドンミン氏の4人は、それぞれ職務を解任された。
また、上海大学転化医学研究院の院長であり、「長江学者」の称号を持つスー・ジアツァン氏もデータ改ざん疑惑を受けているが、大学側は現在まで調査結果を公表していない。
「耿同学」の告発は学術界に大きな衝撃を与えた。本人によれば、不正行為の追及には主にコンピュータによるデータ比較を活用しており、多くの情報提供はインターネット利用者、とりわけ学部生や大学院生から寄せられたという。
先月26日には、中国国営の新華社通信が「耿同学」へのインタビュー記事を掲載した。
新華社は今回の学術不正告発が大きな注目を集めた理由として、関与した研究者の数が多いこと、彼らが高い学術的地位と大きな影響力を持っていることを挙げた。
さらに、彼らが過去に各種研究助成金を受けていた経歴を持つことや、発覚したデータ改ざんの手口が非常にずさんだったことも理由として指摘した。
先月27日、耿同学は4人の研究者が『ネイチャー』系列誌に掲載した論文について、画像編集ソフト「フォトショップ」による画像改ざん、データ捏造、数値の重複使用が行われていたと公然と非難した。
明報によると、ゴン氏が名指しした研究者には、中南大学湘雅病院の院長を務めるレイ・グアンホワ教授や、湘雅公衆衛生学院のゾン・チャオ教授らも含まれていたという。
湘雅医学院研究処は中国紙の現代快報の取材に対し、中南大学主導でこれらの研究者に対する調査を開始したと明らかにした。
告発者・ゴン氏が突然活動停止「無差別告発」への批判も
ゴン氏は先月28日、突然「法は大衆を処罰しない」「不正行為があまりにも多く、感覚が麻痺してしまった」などを理由に、不正行為の告発活動を全面的に中止すると発表した。
翌29日には、自身の抖音(Douyin)のアカウントが永久的に利用制限を受けたことを発表した。
明報によると、ゴン氏は先月23日にも、過度な圧力や家族の安全を理由に告発活動を中止すると述べていたという。
フォロワー187万人を抱える法律系ブロガー「張三同学」は、中国版Xとも呼ばれる微博(Weibo)で、「耿同学の告発によって名門大学は面目を失った。このような告発は現実社会では容易に受け入れられるものではない」と批判した。
さらに、「耿同学による告発活動が続けば、大規模な告発ラッシュが起こり、有名大学は次々と調査報告書への対応を迫られ、最終的には体面を失うことになる」と主張した。
また、より大きな問題はゴン氏の告発が持つ「無差別性」にあると指摘した。
いつ、どの大学を対象にし、どの学界の大物研究者を告発するのか予測できず、現実社会では通常存在する行動上の制約や緩衝装置がないというのである。
シンガポール紙である聯合早報は、コミュニケーション学者のウェイ・ウーフイ氏の見解を引用し、プラットフォーム側によるトラフィック制限措置は、かえってさらなる論争を招く可能性があると報じた。
また、ワン・ジュン弁護士も、抖音側はゴン氏に対して明確な理由を示したうえで、法的根拠に基づく利用制限措置を講じるべきだと主張した。














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