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中国の“石油離れ”は本物か…原油市場を動かす最大顧客の変化

望月博樹 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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中国は世界最大の原油輸入国であり、世界の原油市場における「最後の買い手」とも呼ばれている。しかし最近では「中国は今後、現在のように原油を多く購入しないだろう」との見方が広がっている。中国はそれほど大量の原油を必要としない国へ変わりつつあるのか、変化の背景とその意味を探る。

需要のピーク

中国の原油輸入が以前のような急増を見込めないとされる理由の一つが、巨額の原油在庫だ。中国はすでに十分な量を備蓄している。米国エネルギー情報局(EIA)は中国の原油在庫(国家備蓄や国有石油会社の在庫を含む)が今年第1四半期時点で15億4,100万バレルに達すると推計している。これは米国の4億1,300万バレル、日本の2億6,300万バレル、韓国の7,800万バレルを大きく上回る規模だ。

こうした膨大な原油在庫はホルムズ海峡の封鎖という前例のないエネルギー供給の混乱が発生した際にも、衝撃を吸収するスポンジのような役割を果たした。中国はホルムズ海峡封鎖後、石油製品の輸出規制を直ちに実施するなど、エネルギー不足につながる要因への対応も進めた。ホルムズ海峡の封鎖を受けて国際原油価格が一時1バレル120ドル(約1万9,000円)まで急騰し、多くの国が代替エネルギーの確保に追われる中、中国は異なる状況にあった。

しかし、原油在庫が十分だからといって原油輸入を増やす必要がなくなったとは言えない。在庫はいずれ補充しなければならないためだ。

そこで注目されるのが原油需要の減少である。エネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは米国とイランの戦争期間中に中国で減少した日量約20万~60万バレルの原油需要は今年中の回復が難しいとの見方を示した。エナジー・アスペクツも中国では日量約30万バレルの需要が減少しており、今後も需要減少の状況が続くと予測している。

日量30万バレルは精製すればガソリンや軽油として数十万台規模の自動車に給油できる量に相当する。それだけの原油需要が中国市場から構造的に失われる可能性があるということだ。

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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電動化へ進む中国、「石油大国」からの転換

実際、中東のエネルギー危機が深刻化した今年4月(前年同月比37%減)と5月(同41.8%減)、中国のガソリン車販売は記録的な落ち込みを見せた。5月の乗用車販売台数上位10車種にはガソリン車が1台も入らず、そのすべてを電気自動車(EV)やハイブリッド車などの新エネルギー車が占めた。バッテリーEV、プラグインハイブリッド車、レンジエクステンダーEVの販売比率は5月に62.9%となり過去最高を記録した。

中国最大の石油会社であるペトロチャイナも中国の石油消費量は昨年、前年比3.6%増だったものの今年は4.9%減少すると予測している。

市場ではエネルギー安全保障への懸念が、こうした電動化の流れを後押ししているとの分析が出ている。中国はすでに世界最大のEV生産国であり消費国でもある。ホルムズ海峡封鎖は中国の電動化をさらに正当化する契機となったとの見方もある。

中国がEVだけでなく、再生可能エネルギーや鉱物資源などを基盤に電力をエネルギー源とする世界初のエレクトロステート(電化国家)への道を歩み始めている可能性も指摘される。今や中国の成長を支えるエネルギーは石油から電力へと移行しつつあるとの見方が強まっている。

鍵を握るのは変化の「スピード」

もちろん、中国が直ちに石油時代を終えるわけではない。ホルムズ海峡危機で放出した備蓄原油を補充する必要が生じる可能性があるほか、石油化学製品の原料需要も今後も続くとみられる。

中国は引き続き世界最大の原油輸入国であり続ける可能性が高いとされる。ただし、市場の見方は徐々に変わり始めている。かつては原油輸入の拡大が中国経済成長の象徴だったが、現在はEVや車載電池、再生可能エネルギー設備の拡大がその役割を担いつつあるためだ。

エネルギー市場の関心は今後「中国がどれほどのスピードで電力中心の社会へ移行していくのか」に集まると予測されている。

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