
米国のドナルド・トランプ大統領率いる政権は、イランとの戦争を受け、国防力の回復などに充てるため、876億ドル(約14兆1,800億円)規模の緊急追加予算案を連邦議会に正式に要請した。共和・民主両党には追加の軍事行動への慎重論があり、予算案の審議も難航する見通しだ。
AP通信によると、ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は24日、876億ドル規模の追加予算案を議会に提出した。このうち670億ドル(約10兆8,400億円)は、米軍の対イラン軍事作戦「エピック・フューリー(壮大な憤怒)」で消耗した武器・装備の補充や、軍の即応態勢の回復などに充てる方針だ。
予算案の提出は、トランプ大統領が共和党の上院議員らとの非公開昼食会で、戦争権限決議案に賛成した議員らを強く叱責した直後に行われた。一部の議員とは怒鳴り声が飛び交うほど、激しい衝突になったとされる。
政権は国防費以外にも複数の事業を併せて盛り込み、議会の支持を得ようとした。米国の農家支援には111億ドル(約1兆8,000億円)、アフリカでのエボラ出血熱対策には14億ドル(約2,300億円)、ワシントンD.C.の復旧事業には5億ドル(約810億円)をそれぞれ配分した。特にニューヨークのペン・ステーション近代化に向けた設計・建設事業にも10億ドル(約1,600億円)を計上し、民主党指導部の選挙区への配慮を示したとの分析もある。
国防費のうち最大の割合を占めるのは武器・弾薬の補充費で、210億ドル(約3兆4,000億円)が計上された。次いで、作戦遂行費として173億ドル(約2兆8,000億円)、機密プログラム向けに121億ドル(約2兆円)を盛り込み、燃料費、ドローンの生産、サイバーセキュリティ強化に必要な予算も反映した。
農業支援では、一般作物と特用作物を栽培する農家向けに100億ドル(約1兆6,000億円)、昨年冬の暴風で被害を受けたフロリダ州の農業生産者向けに11億ドル(約1,800億円)をそれぞれ計上し、支援する方針である。
今回の予算案には、大麻(ヘンプ)製品に関する規制の見直し、バイオ燃料の通年販売拡大、ベネズエラへの投資制限の緩和などの政策変更案も盛り込まれている。
民主党は強く反発した。米上院歳出委員会のパティ・マレー副委員長(民主党)は、「今回の予算案は、大統領の誤った戦争の費用だけでなく、年次の予算手続きで扱うべき国防予算まで一括して追加確保しようとする試みだ。軍人への支援は必要だが、自ら選んだ戦争に数百億ドル規模の予算を白紙小切手を渡すような形で承認することはない」と批判した。
一方、共和党の米下院歳出委員会のトム・コール委員長と、同委員会国防小委員会のケン・カルバート委員長は共同声明で、「米国の国防力は単なる誇示のためにあるのではなく、継続的に維持されなければならない」とし、予算案の必要性を強調している。
ただ、今回の予算案が議会を通過するかは不透明だ。多くの議員は今回の採決を、イラン戦争を支持するかどうかを問う政治的な試金石と捉えており、超党派の合意形成は容易ではないとの見方が出ている。













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