
米国連邦最高裁判所は、米国連邦準備制度理事会(FRB)のリサ・D・クック理事に対する米国のドナルド・トランプ大統領の解任措置に歯止めをかけた。正当な理由を示さず、適正な手続きを踏まないまま大統領が一方的にFRB理事を解任することは認められないとの判断を示した。トランプ大統領がFRBに露骨に利下げを求め、中央銀行の独立性を揺るがしている中、連邦最高裁がFRBの独立性を守ったと評価されている。FRBのケビン・ウォーシュ新議長が、より独立して金融政策を運営できる余地を得たとの見方も出ている。
ブルームバーグ通信などによると、連邦最高裁は29日(現地時間)、賛成5、反対4で、クック理事が解任を巡る訴訟が進む間、理事職にとどまることを認めた。現在の連邦最高裁は、保守派とされる判事6人とリベラル派とされる判事3人で構成される。保守派とされる連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官とブレット・カバノー判事は、リベラル派の判事3人とともに多数意見に加わった。
トランプ大統領は昨年8月、クック理事が過去の住宅ローン手続きで詐欺を行ったと主張し、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で一方的に解任を発表した。クック理事は解任は不当だとして、裁判所に提訴している。米国の大統領がFRB理事に解任を通告したのは、1913年のFRB創設以来初めてだった。

連邦最高裁はこの日、クック理事に十分な弁明の機会が与えられていなかったとして、訴訟が終結するまで理事職にとどまることを認めた。ロバーツ長官は、トゥルース・ソーシャルを通じた解任通告について、「クック理事に適正な手続きを保障するには不十分だった」と指摘した。その上で、「少なくともクック理事には、問題とされた証拠についての説明、反論の方法、反論を提出する期限を知る権利があった」と強調している。さらに、「FRB理事を解任すべきかどうかを決めるのは大統領だけだ」としつつ、「だからといって、大統領が理由もなくその決定を下せるわけではない」との認識を示した。
ロバーツ長官はさらに、FRBが「特別な役割」を担っていると付け加えた。「米国、そして世界で最も重要な金融機関の一つであるFRBの地位を巡って、人々を不確実な状況に置いたり、疑念を抱かせたりする理由はない」と述べた。FRB理事の解任権限が大統領にあること自体は否定しない一方、経済全体に極めて大きな影響を及ぼすFRBの独立性は尊重されるべきであり、正当な理由なしに理事を解任することはできないという趣旨と受け止められている。

クック理事は声明で、「私は政治的圧力に屈せず、米国民にとって最も有益なことだけを考慮して金利判断を下した。そのため、トランプ大統領は私の解任を試みた」と主張した。「FRBが証拠と独立した判断に基づいて政策決定を下すべきだという原則を、改めて確認した判断だ」と強調している。一方、トランプ大統領は、「不正を行った人物が米国民の福祉に関わる重要な決定を下せないよう、直ちに適切な措置を講じる」と表明した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のニック・ティミラオスFRB担当記者は、「今回の判断の最大の勝者はFRBのケビン・ウォーシュ議長だ」と評価した。その上で、「ウォーシュ議長は大統領の意向にかかわらず、より独立して行動できる余地を得た」との見方を示した。大統領が正当な理由なしにFRB幹部を解任できなくなったことで、ウォーシュ議長も客観的な経済指標だけに基づき金融政策を運営できるようになったことを意味する。
一方、連邦最高裁は、FRBを除く独立機関の人事について、大統領の解任権限を広く認める判断も下した。連邦最高裁は、民主党推薦で任命された米国連邦取引委員会(FTC)のレベッカ・ケリー・スローター委員をトランプ大統領が昨年解任した件について、賛成6、反対3で適法と判断した。これにより、独立機関の人事は不正行為や職務怠慢などの正当な理由がない限り、政策上の立場の違いだけで解任できないとした1935年の判例を覆す内容となっている。
今回の判断により、トランプ大統領を含む米国の大統領が公職者を解任する権限は、大幅に拡大すると見込まれる。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、米国消費者製品安全委員会や米国原子力規制委員会など、行政府の下に置かれながら大統領による直接的かつ詳細な統制を受けない20余りの独立機関に、今回の判断の影響が及ぶとみている。
同日、連邦最高裁が独立機関の人事に対する大統領の解任権を広く認めながら、FRBだけを例外としたのは矛盾だとの指摘も出ている。NYTは社説で、「FRBを政治的介入から守る法律には保護する価値があり、FTCの設立根拠となった法律にはその価値がないというのか」と問いかけた。
















コメント0