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米最高裁、大統領の独立機関トップ解任権を拡大も「FRBだけは例外」

有馬侑之介 アクセス  

91年ぶりに判例を覆しても、FRBは保護

出典:ロイター
出典:ロイター

米連邦最高裁が、大統領による独立機関トップの解任権限を大幅に拡大する判決を下したものの、連邦準備制度(FRB)の独立性については例外とした。今回の判決は、行政府の権限を強化すると同時に、金融政策の政治的独立性は維持すべきだという立場を明確に示したものだとの評価が出ている。

ロイター通信によると、米連邦最高裁は29日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領が解任した前米連邦取引委員会(FTC)のレベッカ・スローター委員の解任について、6対3で適法だと判断した。あわせて、1935年の判例である「ハンフリー執行者事件」を覆し、大統領が独立機関の高官を任期中であっても解任できるとの判断を示した。

ハンフリー執行者事件の判例は、90年間にわたり米独立機関の政治的中立性を保障してきた重要な法理だった。当時、最高裁は、大統領が政策上の相違を理由に連邦取引委員を解任することはできないと判断しており、その後、証券取引委員会(SEC)や全国労働関係委員会(NLRB)など、多くの独立機関の法的基盤となった。しかし、今回の判決により、こうした保護措置の大部分は失われることになった。

ただし、最高裁はFRBについては別の例外として残した。ジョン・ロバーツ最高裁長官は判決文で、FRBは「独特の歴史的伝統と構造を持つ機関」だとし、今回の判決が中央銀行の独立性を損なうものと解釈されてはならないと明らかにした。これは、大統領がFRBの政策決定に直接介入することを防ぐための措置だとの見方が出ている。

実際、同じ日に最高裁は、トランプ大統領が解任を試みたリサ・クック氏については、5対4で解任を阻止した。最高裁は、FRB理事は法律上「正当な理由(for cause)」がある場合にのみ解任でき、政策的見解の相違だけでは解任理由にならないと判断した。

今回の判決は、トランプ政権が推し進めてきた強い大統領権限論に追い風を与えたとの指摘が出ている。一方で、野党や法曹界からは、連邦取引委員会など独立規制機関の政治的中立性が大きく弱まる可能性があるとの懸念も示されている。FRBは例外として残ったものの、多くの独立機関は今後、大統領の影響下に置かれる可能性が高まり、米行政府と独立機関の権力構図が大きく変わる転換点になるとみられる。

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