
ドナルド・トランプ米大統領が、イスラエルに代わってシリアに対し、レバノンの武装組織ヒズボラへの対応を担わせる案を公然と提案したものの、シリア側が軍事介入を拒否した。早期の戦闘終結を目指したとするトランプ米大統領の構想は、当事国の反発を受け、早くも頓挫した格好となった。
28日(現地時間)、AP通信によると、トランプ氏は最近の主要7か国首脳会議(G7サミット)で、イスラエルによるレバノン攻撃が長期化していることに不満を示した。その上で、「誰かを探すために毎回建物全体を崩壊させる必要はない」と述べ、イスラエルに対し、シリアにヒズボラへの対処を委ねる案を提示したとされる。「正直に言って、シリアの方がうまくやるだろう」とも語ったという。
トランプ大統領はその後も同様の主張を繰り返し、イスラエルがヒズボラを十分に排除できていないとの認識を示し、シリアに作戦を委ねれば、より精密な対応が可能になるとの趣旨で強調した。

シリア大統領、レバノン介入説を否定
しかし、シリアのアフマド・アル・シャラア大統領は、トランプ大統領の構想に否定的な姿勢を示した。
アル・シャラア大統領は13日、首都ダマスカスでの演説で、「シリアがレバノンに介入するとのうわさが広がっているが、事実ではない」と述べ、「我々は戦争の恒久的な終結とレバノン情勢の安定を望んでいる」と明らかにした。
また、21日にはアラブ首長国連邦(UAE)メディアのアル・マシュハドとのインタビューで、トランプ大統領の発言が誤って受け止められたとの認識を示した。
アル・シャラア大統領は、「トランプ大統領が述べたのは、シリアが安全で平和的な解決に向けて役割を果たすということにすぎない」としたうえで、「シリアが直ちにレバノンへ軍事介入するかのように受け止められた」と述べた。
さらに、シリア政府は、軍事作戦ではなく、政治、経済、社会面での解決策を米国側に提示したと付け加えた。内戦終結後の国家再建を最優先としており、地域紛争には関与しない方針だと説明している。

レバノンに「シリア再介入」の懸念、イスラエルも警戒
トランプ大統領の提案は、レバノンとイスラエルの双方で懸念を呼んでいる。
レバノンでは、2005年まで続いたシリア軍の駐留や政治介入の記憶が今も残る。シリア軍がヒズボラへの対応を名目に再び国境を越えれば、宗派間の対立や反シリア感情が一気に高まる可能性がある。
一方、イスラエルもアル・シャラア政権を全面的には信頼していない。現在のシリア政府軍は、かつてのイスラム主義勢力を中心に再編されており、イスラエルは同勢力がレバノンで影響力を拡大する可能性を警戒している。
イスラエルの安全保障当局の高官らは最近、シリア軍をレバノンに投入する可能性について協議する会議を開いたとも報じられている。
専門家らは、トランプ大統領の構想は現地の複雑な宗派構造や歴史的背景を十分に考慮していないと指摘している。また、内戦で弱体化したシリア軍に、強力な武装組織であるヒズボラと全面的に交戦する能力があるかどうかについても疑問視する声が上がっている。
結局、イスラエルの長期化する戦闘の終結に向けて打ち出された「シリア関与案」は、シリア側の拒否に加え、周辺国の反発を招く結果となった。














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